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随分長い間、検見川浜以外ではカヌーに乗っていない。西伊豆の海が最後だからもう3年になる。川下りとなると2003年5月の気田川以来だから3年半ぶりだ。掛川に転勤して新居を構えているI氏の「泊まっていいですよ」という言葉に甘えて、今回はキャンプではない。
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食事の仕度が不要で時間的にゆとりがあるので、上流から下流まで20kmを一気に下るつもりである。F氏と共に久々の東名高速を走り、予定通り10時に掛川ICを降りてI氏宅に寄り、一休みして2台で出発。春野町役場を通過して久里崎橋下の河原に荷を下ろし、二人に車回送してもらう。
往復40分位掛かるはずだから、その間にスターンズに空気を入れ、I氏のファルト艇を組み立てることにする。空は晴れ渡って気温は18度もあり、ポカポカ陽気だ。トラブルでもあったかと心配になった頃、I車が現れた。丁度、ファルフォークを組み立て終わった所だった。いつもより水が少なく、下流まで下るのは時間的にとても無理だということで秋葉神社キャンプ場をゴール地点に選んだそうだ。上流部だけになってしまったが、時間も遅いしその方がいいだろう。
昼食は缶ビールとおにぎりで簡単に済ませ、13時過ぎ、出発。水量が極端に少ないが透明度は抜群だ。前回は白濁していたが元の清流に戻っていてうれしくなる。何か対策をしたのだろうか?トンビが長閑に鳴きながら青空を舞っている。
鳶舞い気田川の空晴渡り
のんびりと川下り気分を満喫していたら、前方に釣師の姿が現れて緊張。しかも一人ではない。今頃鮎がいるのか?夏の間は鮎釣が多いので遠慮していたのだから、冬ぐらいカヌーをゆっくり楽しませて欲しい所だ。彼らは流れの真ん中に立ち込んでおり、手を振って自分の後ろを通れという合図をしている。
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水が少ないのに、さらに浅い方を通れとは腹が立つ。当然底が突っかえるので、艇を引っ張って歩く。まあ、彼らにしてみれば「俺達は金を払っているのにお前らは只で遊んでいやがる」と言いたいのかもしれないが。釣師とカヌーがいがみ合うのも、今の日本に鮎釣や川下りが出来る川が少な過ぎるからだ。
前島橋をくぐって春野町役場に差し掛かると、ツツジの植栽で「日本一きれいな川」と描いてある。この川は所々にコンクリートの護岸があるものの、川底まで透き通る清流がゆったりと山間を蛇行し、ゴミ一つない広々とした河原にはハクセキレイやサギなどの野鳥が飛び交っている。
ゴミの投棄防止などに日々努力しているのだろう。両岸にゴミが目立つ那珂川などとは全く違う。これなら「日本一」というのもうなずける。ずっと前方に灰色のサギが見えたので、近付いて写真を撮ろうとしたが警戒して飛び去ってしまった。
清き水パドルきらめき心浮く
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木杭と笹で組んだ簡単な堰が何箇所もあり、杭から針金が出ていることがあるので艇に引っ掛けないよう神経を遣う。鮎漁に関係ありそうだが、何のためにあるのかよく判らない。(ネットで調べたら、堰で下り鮎を閉じ込めて網で獲るものらしい)
14時過ぎ、笹間付近で河原に上がって休憩。かなり雲が広がって来た。F氏は久しぶりの川下りが楽しくて仕方ない様子で、戯れながら写真を撮っている。もう釣師はいなくなったが、とにかく水が少ないので、しょっちゅう底がぶつかり、その度に歩いて引っ張るのでくたびれるし時間も掛かる。
しかも向い風が強く、いくら漕いでも我が艇は水に浮かぶ風船のようでちっとも前に進まない。手を止めると上流へ流される始末だ。これでは川下りとは云えない。
向い風押戻される川下り
スターンズは幅が広く安定しているのはいいが、遅くて話にならない。二人にどんどん離される。いつの間にか空は一面厚い雲に覆われてしまい、今にも雨が落ちて来そうだ。若身橋付近でようやく追い着いたら、急カーブの瀬で岩に張り付いたらしく、I艇が沈して流されていた。
眼鏡も流されたので、F氏が川に入ってしばらく捜したが、川幅が広く流れも速くてとても見つけられるものではない。奥さんに電話してスペア眼鏡をゴール地点まで届けてもらうことにする。気温は10度まで下がって寒くなった上、雨まで降り出して踏んだり蹴ったりだ。
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I氏は全身ずぶ濡れで震えている。防水袋に入れておいた着替え用Tシャツを着てもらい、その上から大きなビニール袋を被ると人心地が付いたようだ。むろん袋には頭と手が出る穴を開けてある。犬居橋、新秋葉橋、秋葉橋をくぐり、15時40分、秋葉神社前キャンプ場に辿り着いた。
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以前より1m位水位が低く、堤防のはるか手前で上陸。雨の中の撤収と着替えは寒くてみじめだ。それにしても、ここをゴールにしておいて正解だった。当初予定通り下流まで行っていたら暗くなって難渋しただろう。そうこうするうちI夫人が眼鏡を届けてくれた。
F氏が運転すればその必要は無かったのに、気付くのが遅くて申し訳ないことをした。濡れた荷物を無理やりレガシーに押し込んで、I車回収に久里崎橋へ向かう。その後、I邸の暖かい部屋で豪勢な蟹鍋の歓待を受けてしまって恐縮。風呂で温まって暖かい布団で寝る。
こんないい目に遭ったらもうテント生活に戻れない。
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