新緑の那珂川【下野大橋〜那珂川大橋】

日  時:2001年5月4日(金)
天  気:快晴、気温高く東の風やや強し(向かい風)
行  程: 那珂IC−920,940那珂川大橋−1020,1200 下野大橋−1310,1325大瀬の手前−1430,1440大瀬の先−1545,1555新那珂川橋の先−1725,1750那珂川大橋−1830下野大橋−1905,1930那珂川大橋−2000水戸IC
漕行距離:約25km
漕行時間:5時間30分

今日のゴール「道の駅 桂」に車を停め、1台を残して上流を目指す。当初大瀬スタートのつもりだったが、地元(つくば在住)のOさんの案内で烏山の下野大橋からのスタートとする。昼食後、12時スタート。天気は快晴で暑いくらい。Tシャツで十分だ。スタート地点は流れが極端に遅く、溜め池のようだ。漕いだ分しか進まないので川下りの気がしない。

那珂川 那珂川 那珂川 那珂川
 
「この先で流れが速くなりますよ」学生のように見えたが実は国土交通省土木研究所勤務のOさんが言う通り、左へ大きくカーブすると少し流れ出した。水は濁っているが、大瀬より上流の方が山の中の感じで雰囲気がいい。これまでは5月下旬に来たので新緑の季節は終わっていたが、今日は木々の新緑が快晴の空に良く映え、最高に輝いている。水面を渡る風も快い。この川は瀬がなくて刺激はないが、のんびりできるのがいい。空にはトンビが舞い、ウグイスが囀っている。

薫風が 水面を渡る 那珂の川

両岸に 新緑溢れる 川下り

川旅や とんび輪を描く 五月晴れ

ゴールデンウィークだけあってカヌーは多いし、あちこちの河原やキャンプ場にはテントが沢山張ってあり、グループや家族連れでにぎやかだ。漕ぎ出してから1時間過ぎたので河原で休憩し、再び漕ぎ出す。まだ、大瀬に着かない。Oさんは大学時代は植物の生態をやってたとかで、かなり木や花に詳しそうである。「大学を出て3〜4年経つから、もうかなり忘れました」と謙遜しながらも、「川筋にはハンノキ系とヤナギ系が多い」「あれはシラカシですね」とか、教えてもらう。一面の鮮やかな緑の中に、オレンジのヤマツツジや薄紫のフジの花が点々と咲いていて彩りを添えている。

新緑に 艶やか浮かぶ 山躑躅

2年前に来た時、水害の復旧工事の最中だったのが、皆完成している。露骨にコンクリートむき出しではなく、石積みや隙間のあるブロックで護岸をして土をかぶせてあるのが目新しい。いづれ草が生えて自然の感じに近くなるように配慮してあるらしい。ところが専門家のOさんに依れば「あの工法は一寸古いですね」ということだそうだ。今の若い建設官僚一人一人は長良川河口堰などの公共事業に批判的だけど、トップの考え方が予算先行でどうにもならないらしい。アメリカでは環境保全の為にダムを壊し始めているのは参考になるとか、これからはダムやコンクリート護岸を壊して自然を取り戻す事も公共事業になりうるとか、官僚も変わり始めているそうだ。早く政策として実現してもらいたいものである。

いつになく格調高い話をしながら下っていくと、ようやく大瀬を通過したらしい。ここの河原もテントがぎっしり。以前あったヤナ(魚を捕る仕掛け)がないので、大瀬とは気付かず通り過ぎてしまった。前方にカヌー教室らしい大集団が現われた。数名のインストラクターに連れられた家族連れや若いグループが多い。以前より水の流れが大幅に広がった感じで、流れもゆったりしている。ほとんど艇の底を擦ることもない。番いの鴨が飛んで来て一頻り岸辺で餌を漁っていたが、すぐ又仲良く飛び去って行った。正しく鴛夫婦だ。

蒼空へ 並んで飛び去る 番い鴨

那珂川 那珂川 那珂川
 
3時を過ぎた頃から強い東風が吹き始めた。もろに向かい風でえらく疲れる。流れが緩やかなので、漕ぐのを止めると情けないことに上流へ戻されてしまう。仕方ないので一生懸命漕ぐしかない。腕がだるく腰も背中も痛くなる。まだ、ゴールははるかに先だ。両岸の新緑は相変わらず鮮やかだが、日も陰ってさすがにTシャツだけでは寒くなった。新那珂川橋を過ぎて、左岸の河原で3度目の休憩。皆、準備良く上着を着ているのに一人だけ車に置いて来てしまった。見兼ねたOさんがセーターを貸してくれたので助かる。2年前には沢山あった水害の痕跡はほとんど消えており、竹林がなぎ倒されている程度。枝に引っ掛かったビニールなどのごみも減っているし、橋桁に張り付いた流木もなくなった。

上流では割と冷たかった水もこの辺りまで下ると生活廃水のせいか気持ち悪いくらい暖かい。一時止んでいた向かい風がまた強くなる。皆相当くたびれて来て、口も利かずに黙々と漕いでいる。ようやく赤い橋が見えて来て「やっと着きましたよ」Oさんが言ったが、これはゴールの一つ手前の御前山橋だった。橋を過ぎても右岸にキャンプ場がなく、違うと判って皆がっかりだ。何度か緩やかなカーブを過ぎてやっとゴールの那珂川大橋に到着したのは17時半。艇を降りる時、足がふら付いて水辺で尻餅をついてしまった。

ゴールして 足元ふらつく 御前山

1日の川下りとしては今までで一番長く約25km。5時間半。とにかく、こんなに長い時間漕ぎっぱなしだったのは初めて。背中と腰が痛くなってしまった。車を回送して撤収した時には夜の帳が下りていた。