アルプスの山旅1


《1.出国そしてシャモニー[CHAMONIX]へ》
7/19 830武蔵新城―浜松町―1010,1655羽田―1850,1950ソウル―2325マニラ
いよいよと云うか、やっとと云うか、兎に角出発である。16時55分にようやく離陸したKE(大韓航空)704便の機体はA300B4。ソウルに着くとすぐKE903便に乗り換え。今度はDC10である。23時過ぎマニラ到着。スコールの後らしくそれ程暑くない。

7/20 030マニラ―200,300バンコック―510,640バーレーン―825,1025ジェッダ―1400、1540チューリッヒ―1610,1710シティ駅―1943,2000ローザンヌ―2055マルティニ
東京から約16000km、28時間掛けてチューリッヒ[ZURICH]に着いたのは、予定より1時間遅れの14時。(日本との時差7時間)イミグレイションはパスポートを見るだけで、一言も口を訊かずにOK。さすが観光国。スイスエアのバスでシティ駅へ向かう。町全体がすごくきれいで、道路標識を始め全てが垢抜けている。地図を見せてマルティニまでの切符を買い、ジュネーブ行のSBB(スイス国鉄)特急に乗る。改札口がなく、いきなり列車がいるので面喰う。特急料金は不要で2等だが座席はゆったりしており、空いてるし楽チン。発車のベルもなく静かにスタート。
チューリッヒ空港 チューリッヒ駅
車窓の風景はどの瞬間を切り取っても絵になる。《スイス》のイメージそのままで汚れた部分が全くなく、余りにも整い過ぎている。18時33分ベルンに停車。スイスは東半分がドイツ語圏、西半分がフランス語圏なのだが、どちらにしても標識も駅の放送も全く判らない。鉄道地図と時刻表が頼りだ。ローザンヌでマルティニ行きに乗り換え、レマン湖のほとりを走る。曇っているし、もう20時過ぎなのにまだ明るい。
21時前、辺りが闇に包まれた頃、ようやく今日の目的地マルティニ[MARTIGNY]に着き、羽田を発ってから35時間の移動が終わった。予定では日本の山行のように待合室で寝るつもりだったが、長旅でくたびれたので人通りの途絶えた暗い街を歩いてホテルを探す。
ここは余り観光地という感じではなく、静かで落ち着いた田舎町である。駅のすぐそばの小さなホテルに思い切って飛び込むと、マダムがフランス語しか判らず悪戦苦闘。手振り身振りで何とか通じて、2階の部屋に案内してもらう。質素だが掃除が行き届いており、意外と安くて助かった。[HOTEL GARNI DE SAVOIE 二人で2食付き66FF]

7/21 600起床―815マルティニ―1103シャモニー―1300ロジエールキャンプ場
マルティニのホテル シャモニーへの登山電車 シャムスポーツ店の前にて シャモニー駅
ロジエールキャンプ場 極めて爽やかな目覚め。時差ぼけなし。窓を開けると、涼しくて乾いた空気が爽やかに流れた。きれいな青空と隣の家の窓辺に飾られた赤いゼラニウムが良く似合う。コンチネンタルの朝食後、シャモニー行き登山電車に乗り込む。2両編成の赤い電車は音もなく動き出し、10〜15度位の急角度でグングン登って行く。車内で18度。長袖シャツで丁度いい。
11時過ぎ、待望のシャモニー到着。標高は1037m。ここシャモニーはアルプスで最も歴史のある山岳リゾートと言ってよい。1786年、地元シャモニーの医師ミシェル・パカールと案内人ジャック・バルマが当時「魔の山」として怖れられていたモンブランに初登頂した。「ヨーロッパ大陸最高峰への初登頂」というニュースは、当時の人々を大いに刺激して登山ブームに火を付け、「眺め、怖れる山」から「登り、楽しむ山」へとアルピニズム時代の幕を開けたという。
街を散歩して観光協会、登山用品のスネルスポーツなど見つける。13時に街外れの森に囲まれたロジエール[LES ROSIERES]キャンプ場に到着。大型のキャンピングカーがたくさん停めてあり、緑の芝生に色とりどりのテントが華やかだ。日本人パーティーも結構多い。日体大山岳部の大きな三角テントの隣にエスパースを設営して買い物に出掛ける。
シャムスポーツやセキネという登山用品店には日本人店員がいたが、スーパーではフランス語しか通じない。帰りに立ち寄ったフランス国立登山スキー学校はすごく大規模で立派な施設だった。登山ガイド養成のための学校だが、こんなのは日本では考えられない。

天幕の 外は異国の 蒼い空

7/22 700起床―1100キャンプ場出発―1130,1345ミディ駅―1400,1635エギーユ・ド・ミディ駅―1640,1720プラン・デ・ゼギーユ駅―1725ミディ駅―2230消灯

モンブラン バレブランシュへの雪稜 ミディ山頂にて グランドジョラス方面
ミディ山頂にて  今日は晴れて暑い。テントから顔を出すと、モンブランからドリュまでくっきり。11時にキャンプ場を出て、ロープウェイ乗り場に着いてみるとすごい行列で2時間待ち。周囲を見渡すと、工事用クレーンが林立して建築ラッシュである。エギーユドミディの山頂駅には14時に到着。標高は3795mで富士山よりわずかに高い。

紺碧の空には一片の雲もなく、若干風あり。写真で何度も見た山々が目の前にづらーっと並んでいる。南にはモンブラン(4808m)、モンモディ(4465m)、タキュル(4248m)、東には「巨人の歯」といわれるダンデジュアン(4013m)の特徴ある姿、そしてグランドジョラス(4208m)。北にはシャモニー針峰群とその奥にエギーユベルト(4122m)、最後にドリュ(3754m)。3000m辺りには雲海が広がり、岩と雪の高峰群は豪快なスペクタクル。足元からバレブランシュへ続く雪稜が伸びており、はるか下から登って来る登山者が米粒のようだ。その先にはジェアン氷河が広がっている。

日差しはきついが厚手のセーターで丁度いい。Gは羽毛服を着たままだ。日本人観光客も大勢いる。イタリア側へ行くロープウェイは、真っ赤なゴンドラが3台づつ連なって中々お洒落だ。持参したパンをかじりながら、2時間以上ねばって写真を撮りまくり、降りようとしたら、また目茶混みで30分待つ。途中駅のプランゼギーユは山頂と違いポカポカして暖かく、半袖短パンのアメリカ人がいる。ランデックスの方も晴れて来た。山の店に寄ってたら19時半を過ぎてスーパーが閉店してしまい参った。パンとハムだけは何とか買えたが。

21時半というのにドリュ、グランシャルモ(3445m)、グレポン(3482m)、プラン(3673m)がアーベントグリューエンに燃えている。赤い針峰群もすっかり雲が取れた。

[東京―チューリッヒ(大韓航空往復) 238,000円 以下交通費は全て一人分、チューリッヒ空港―チューリッヒ駅(バス)5SF、チューリッヒ―シャモニー(スイス国鉄・登山電車)50.6SF、エギーユドミディ(ロープウェイ往復)41.5FF、絵はがき10枚 8FF,山岳保険SOSモンターニュ 216FF、ピザ 35FF]