初夏の信州夫神岳(おがみだけ)1250m
 
日  時:2008年5月24日(土)
天  気:くもりのち小雨
行  程: 710東松戸−外環道−関越道−上信越道−上田菅平IC−別所温泉−1040林道駐車場〜1135東屋〜1202,1335夫神岳〜1440,1445林道駐車場−1505別所温泉


ルート断面図とルート図
夫神岳断面図 夫神岳ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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昨年6月末に宮城県に赴任後初めて車での遠征となった今回のYAC山行は、信州別所温泉の裏山ともいうべき夫神岳である。この山域は6年前の春、少し南の独鈷山(とっこさん)に登って以来だ。 その時は丁度山開きで大勢の登山者と共に登ったが、歩き始めから終日雨具を着て冷たい雨に打たれ、全く展望のないみじめな山歩きだった。下山してから寒い中、村外れの東屋で昼食を摂ったことを思い出す。初めて小さなブナの花を見たこととリンゴの白い花が雨の中で輝いていたことが印象に残っている。

昨夜の予報ではくもりのち雨だが何とか午前中は降らないで欲しい。Hさんをピックアップしてから、集合ポイントであるJR武蔵野線東松戸駅に向かい、予定より10分遅れで到着。外環道、関越道、上信越道と順調に進み、サービスエリアで昼食のおにぎりなど調達し、上田菅平ICで降りる。温泉街の狭い道を抜けて安楽寺の山門をくぐり林道に入る。間もなく舗装が切れ、荒れた道を慎重に進む。新緑のトンネルを抜け、林道途中の駐車スペースに車を置いて出発。


夫神岳 夫神岳 夫神岳
 
空は雲に覆われているが明るいのでしばらくは持ちそうだ。アカマツ林の山道は出だしから大変な急登である。そこら中のアカマツにこれでもかといわんばかりに「マツタケ山につき入山禁止平成19年9月」の張り紙がひもでくくりつけてある。 「ビニールカバーもしてないのに1年近く紙がよく保っているね」 「油をしみ込ませてあるんじゃない?」 5分ほどで迂回した林道にぶつかった。このルートはほとんど直登しており、蛇行する林道と4回クロスするらしい。薄日が差し少し青空も覗いた。コナラ、ダンコウバイ、ホオノキ、リョウブなどの新緑がまぶしく、ヤマツツジ、コバナガマズミ、タニウツギなどの花が彩りを添えている。 「緑が浅いのがいいねえ」 Sさんが感嘆の声を上げる。

気温は22度、無風で蒸し暑い。K氏が目敏く小さなチゴユリを見つけた。11時過ぎ、また林道に出た。アカマツには雄花がたくさんぶら下がっており、シジュウカラの忙しない「ツツピー」が森に木霊する。 ヤマツツジの花が道の両側に咲いているが、盛りを過ぎてしおれていた。3回目の林道に出ると次の山道の入り口が見つからない。しばらく林道を進むと右に道標があった。暗い森にヤマボケの赤い花が目立つ。11時35分、また林道に合流したが、ここで林道は尽きており東屋が建っている。数台分のスペースがあるのでここまで車で入れるようだ。 もっともここまで車で着たのでは山登りにならないが。比較的新しい東屋の傍らには「冗}の森」という難しくて読めない字のタイトルの案内板が、反対側の山道入り口には「山頂まで15分」の道標があった。


夫神岳 夫神岳 夫神岳
 
「荷物はここに置いて空身でピストンしない?」 「ここなら雨が降っても宴会出来るよ」 「いや、もう少しだからザックは持って行こう」 「そうね、山頂は景色のいい宴会場かもしれないからね」 この選択は正解だった。ここから道は新緑が目に沁みるカラマツ林となるが、かなりの急勾配でグングン高度を稼ぐ。足元には背の低いヤマモミジ、コアジサイ、ヤマツツジなど点在。サラシナショウマのような白い房状の花を付けた樹が目に付いたが同定出来ず。帰宅後調べたらウワミズザクラと判明。

Hさんはかなり遅れているがTさんがフォローしてくれているので、宴会の準備のため先行する。東屋から10分ほどで傾斜が緩み山頂が近い雰囲気になった。しかしここからが以外に遠く、ようやく夫神岳に着いたのは12時を少し回っていた。東屋から15分ではとても無理だ。気温は20度。 小さな石の祠が2体安置された山頂はコナラやカラマツに囲まれているが、北側だけ開けており、塩田平が一望出来る。そんなに広くはないが、公園のように芝が敷き詰められた気持ちよい山頂だ。野生の芝だろうか?祠の脇にシートを広げる。車座の周囲にはヤマツツジとレンゲツツジが今を盛りと咲き乱れ、春爛漫の風情である。

ちょっと下の木陰にはHさんが見つけた濃い紫のホンスミレの群落あり。 「ここまでザック持って来てよかったね」 いつも通りビールで乾杯。今回は雨を覚悟して昼食はおにぎりで簡単に済ませる予定だったが、しばらくは降りそうになくコンロや食材、フライパンも揃っているので方針変更。タマネギ、コンビーフ炒めやベーコンタマネギ炒め、シーチキンやカニ缶、トマトスライスなど次々に平らげる。 下界を眺めながら、余人を交えず気心の知れた仲間と穏やかな日和の中で酒を酌み交わす。何という贅沢な時間だろう。


夫神岳 夫神岳 夫神岳
 
13時半過ぎ、1時間半の宴を切り上げ下り始めた途端ポツリと来た。

   雨ポツリ宴の後の夫神岳

「ポ ポ ポ」聞きなれない鳴き声が響く。 「あれは何という鳥?」 「ツツドリだよ」 登りでは気付かなかったが、ミズナラやシラカバも多い。カラマツの葉がクッションとなって急な下りの衝撃を和らげてくれる。東屋まで15分掛かった。山道は急なので下りは林道を行くことにする。雨は小降りで傘はほとんど要らないくらいだ。 傾斜の緩やかな所は山道を下る。14時40分、駐車スペースに帰着。今宵の宿の別所温泉へ向かう。