峨々温泉から熊野岳 (1840m)
 
日  時:2007年8月25日(土)
天  気:快晴
行  程:930峨々温泉〜1021,1027猫鼻〜1120,11301350m地点〜1153,1203名号峰〜1335,1402熊野岳(1840m)〜1458,1502自然園〜1620,1623猫鼻〜1655峨々温泉

 
刈田岳とお釜のパノラマ 
刈田岳とお釜のパノラマ(クリックすると拡大します)

ルート断面図とルート図
蔵王山断面図3
 
蔵王山ルート図3
カシミール3Dにて作成しています

枠のある写真をクリックすると拡大します。


白石蔵王の駅で遠来のSさんをピックアップし、遠刈田温泉・蔵王エコーラインを経て峨々温泉に到着。空は雲一つなく晴れ渡っている。6月末に白石に赴任して以来3度目の蔵王山だが、今回はここから名号峰を経て熊野岳を目指す長丁場のコースである。 大きな一軒宿の脇に数台分の駐車スペースがあり、そこに車を停める。宿のマイクロバスの陰になった登山口から、幾棟も並んだ宿の上を回り込むようにジグザグの急登が始まる。気温は23度もあり、風がないので暑い。セミがジージーと鳴くのも暑苦しく感じてしまう。10分もしないうちに大汗だ。  すぐ目の上のイタヤカエデの葉がヒラヒラ揺れているのに、こっちは全く風を感じない。褐色の小さな雨蛙が跳ねて道を横切った。尾根の左斜面の、両脇が刈払いされて歩き易い道を快調なペースで登って行く。ドウダンツツジ、ハウチワカエデ、ミズナラ、オオカメノキ、ホオノキ、ウダイカンバなどの樹林が続き展望はない。 小さな沢を渡る。チョロチョロ流れる水に触れてみると結構冷たい。傾斜が緩やかになり猫鼻に到着、1本立てる。いいペースだったのでコースタイムより速いかと思ったが、ぴったりコースタイム通りだった。ちょっとがっかり。この辺りもずっとクマザサが幅広く刈払いしてあり二人並んで歩ける位だ。

道標 五色岳 熊野岳の登り 熊野岳の登り
 
緩やかながらやや下りになる。ミズナラやダケカンバの巨木が数本風格ある姿で枝を広げている。ブヨがしつこく纏わり付くが刺すことはない。 相変わらずセミが鳴き続けているが、赤トンボも頻りに飛び交っている。右下から沢音がかすかに聞こえる。所々樹林が途切れて日が差し込み、道はほぼ平らになった。 「これは立派なブナだねー」 Sさんが感嘆の声を上げながら幹に触ったのは、直径1mを超える巨大なブナだ。周囲には同じような大きなブナが林立している。1350m付近で2本目。初めて左手が大きく開け、熊野岳から五色岳、刈田岳にかけての荒涼たる山容が現れた。 背の低いダケカンバとナナカマドが多くなる。ようやく稜線に出て右に進むと砂礫地に盛りを過ぎたコマクサが残っており、しゃがんで種を拾っているグループあり。その先が名号峰だった。展望の良いピークだが15人ほどの中高年団体が占領して騒がしく昼食を摂っている。

「昼飯は熊野岳にしよう」 少し休んでから小声で合図してザックを担ぐ。ノリウツギがガクアジサイに似た白い花を付けている。シャクナゲ、ミネカエデ、ゴヨウマツ、ダケカンバなど木々の背が低くなり、気の早いナナカマドがわずかに色付いている。再び、赤トンボがしきりに付き纏う。 追分から自然園に掛けてオヤマリンドウの青い花が目立つ。森林限界を抜けると大きな岩が重なるハイマツ帯となった。 「この岩場はきついねー」 「腹が減りましたねー」 風が強いので涼しくなったのはいいけれど、急傾斜の岩稜が延々と続くのでくたびれて来た。山頂直下の大斜面に枯れたり萎れたりした無数のコマクサが広がっているのは、夏の終わりを告げるようで一抹の寂しさを感じる。ロバの耳への分岐と避難小屋を過ぎ、ほぼ平らなだだっ広い山稜を進む。

萎れたる駒草揺れる熊野岳

熊野岳にて 熊野岳にて 熊野岳にて
 
熊野岳にて 熊野岳にて
 
13時半、ようやく熊野岳山頂に到着。依然として上空には抜けるような青空が広がって気分爽快だ。ここは3度目だが今回が一番の好天で、熊野神社のある広々とした山頂からは360度の大景観が望める。しかし、残念ながら地平線辺りには雲が掛かり、遠くの山並みは同定出来ない。 缶ビールで乾杯し、遅い昼食を簡単に済ませる。風があるので食事中は一応フリースを着たが、気温は20度でそれほど寒くはない。お釜まで下って豪快な景観を堪能し、ガレ場を避難小屋まで登り返す。この斜面には白いヤマハハコがたくさん咲いていた。 ロバの耳分岐からは元来た道を下るのだが、午後2時を過ぎた今はもう人の気配もない。北西方向に月山、北北東に栗駒山らしき山影がちらりと見えた。自然園で一服。追分付近からまた赤トンボが付いて来る。

秋茜纏わりつきぬ蔵王山

長い下りが続くので膝が痛くなり、スピードが鈍る。最近、急な下りで膝を痛めることが多くなったが、関節も老化しているのだろう。緩やかな登りの広い道になると間もなく猫鼻だ。ここからは木の根が露出した急斜面となり、大きな段差を下りる度に膝にビンビン響くので益々そろそろと下る。 前を行くSさんのペースも落ちている。気温は20度だが風もなくなり暑くて汗が滴る。ようやく宿の屋根が見え始め、17時前峨々温泉帰着、今宵の宿の遠刈田温泉に向かう。今回のコースは展望のない長い尾根だったが、峨々温泉から名号峰までは往復とも誰にも遭わず静かな山歩きを楽しめた。