大展望の白毛門(1720m)
 
日  時:2007年5月21日(月)
天  気:快晴
行  程:830土合登山口駐車場(690m)〜920,927960m地点〜10001154m峰〜1030,10401260m地点〜1120,1125松ノ木沢の頭〜1220,1300白毛門〜1335松ノ木沢の頭〜1353,14001360m地点〜1450,1453850m地点〜1502,1537登山口駐車場−1850東京駅

白毛門からのパノラマ 
白毛門からのパノラマ(クリックすると拡大します)
 
ルート断面図とルート図
白毛門断面図 白毛門ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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朝早く目覚めると、昨日とは打って変わって空には雲一つ無く抜けるような青空が広がっている。宿の玄関を出た途端、 すぐ目の前に青空をバックに谷川岳がドーンと聳え立っていた。土合の踏み切りを越えて土合橋の手前を右に入ると広い駐車場があり、その奥が登山口である。標高690mのここからはマチガ沢付近が良く見える。8時半、白毛門沢に掛かる小さな橋を渡って右に少し進むと分岐があり、道標に従って左へ入る。

白毛門沢 谷川岳マチガ沢方面 根曲がりクロベ 白毛門
 
尾根通しの急登となったが、随分立派なブナが多い。周囲をよく見渡すと、かなり遠くまでブナの純林だ。大きな荷を背負った単独の人に抜かれる。巻機まで縦走らしい。新しいサングラスを拾った。さっきの人のかもしれないが追い着くのは無理だろう。 痩せ尾根の木の根登りとなり、両側は鋭く切れ落ちている。沢の音が涼しげに響く。樹間から覗く谷川岳にはほとんど雪が無い。木肌が紅いクロベの大木が多くなった。気温は15度もあり暑くて昨日とは大違いだ。960m地点で一本立てる。オオカメノキやムラサキヤシオ、シャクナゲなどが咲き、シジュウカラが囀る。 少し傾斜が緩み、沢音が遠のく。再び急登となり、シロベやクロベの木の根につかまって登る。10時、1154m峰と思われる小ピークを通過。ここからは所々雪が残る白毛門が大きく見えるが、まだ遥か彼方だ。タムシバの花が純白に光り輝きながら青空に浮かんでいる。

タムシバの花も輝く白毛門

少し下る。カケスがジェーと鳴き、対照的にウグイスが美しく囀る。森林限界が近づいてクロベなどの針葉樹が少なくなり、南面の山並みの上に上州武尊が姿を現した。全く雪の無い天神平が段々同じ高さになって来る。10時半、1260m付近で2本目。岩陰にショウジョウバカマが咲いていた。 凹状の岩場の急登。高度が上がるに連れて一の倉を始めとする谷川岳の岩壁が迫力を増し、巨大な壁となって聳えて来た。気温は20度まで上がりかなり汗をかく。ようやく森林限界を抜け、大きな鎖場を過ぎると松ノ木沢の頭に到着。11時20分だ。ここは遮る物が無く、格好の谷川岳展望台となっており、三脚を構えている人が一人。 「サングラスを落としてませんか?」 「相棒かもしれない」 というので手渡す。ほぼ360度の絶景は大迫力で疲れも吹き飛ぶ。さっきからヘリの爆音が谷川岳に反響してうるさいが、山小屋の荷揚げをしているのだろう。この辺りからルート沿いに所々残雪が見られるようになった。夏道が雪で隠れた箇所もあり、時々道を見失う。ほんのわずかだが雪田歩きもあった。

雪残る岩の稜線足弾む

青空に雪尾根聳ゆ上州路

雪田が多くなり、岩場の連続する痩せ尾根でホールドスタンスが乏しい箇所もあり若干緊張。


白毛門山頂にて 白毛門山頂にて 白毛門山頂にて
 
松ノ木の頭からの谷川岳
 
12時20分、白毛門山頂到着。ほぼコースタイム通りである。ところで、このコースは若かりし頃テントなど重荷を背負って2度登っているのだが、見覚えのある場所が全くなかったのはどうしたことだろう? 厳しい山にトライしていた当時は、この程度の急登は日常のことで印象にも残らなかったのかもしれない。狭い山頂には数名の先客がいたが、すぐ下山して誰もいなくなった。文字通り360度の大展望を静かに楽しむ。依然として雲一つない青空の下、谷川岳から北へ茂倉、武能、大源太、苗場と続く山並みには斑模様に雪が残っている。 間近の笠ヶ岳、朝日岳の雪はかなり多い。東から南に目を転じると尾瀬の燧岳、至仏、平ヶ岳そして日光白根、上州武尊、かすかに富士山も見える。さらには南アルプスの白い峰が彼方に浮かんでいる。宿のおにぎりで簡単な昼食を済ませ、13時下山開始。 この尾根は急峻なので下りも時間が掛かるはずだ。しかし、意外とあっさり岩場や雪田を下り、松ノ木沢の頭まで35分で到着。もうここにも誰もいない。1360m付近で少し休む。再びヘリが活動開始して爆音が谷間に響き渡る。やっと少し風が出て木陰は涼しくなった。シジュウカラが盛んに鳴く。 沢音が近づき、眼下の谷間では雪解け水が大きな滝となって涼しげな音を響かせながら白毛門沢へ落ちて行く。快調なペースで下ったので、随分前に下山したはずのサングラスを渡した夫婦に追い着き道を譲ってもらう。

雪解けの水滝となり涼覚ゆ

15時過ぎ登山口帰着。山頂から2時間しか掛かっておらず、コースタイムより1時間早い。荷が軽いとはいえ難コースを楽々下れて自信が蘇る。沢の水で顔や足を洗う。雪解け水はしびれるほど冷たく、濡れタオルで体を拭くと疲れが飛んで行く。グレープフルーツを沢で冷やして食す。渇いた喉に瑞々しい果汁が広がって実にうまい!次はもっと大きな山を目指してみたい。