紅葉残る前烏帽子岳(1402m)
 
日  時:2007年10月28日(日)
天  気:晴れ
行  程:835烏帽子岳登山口〜928,935800m地点〜1007,1012900m地点〜1055,11001020m地点〜1205,1228えぼしスキー場分岐〜1245,1255前烏帽子岳〜1307えぼしスキー場分岐〜1325,13301100m地点〜1430渡渉地点〜1438登山口


ルート断面図とルート図
前烏帽子岳断面図 前烏帽子岳ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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昨日終日降り続いた雨が嘘のように雲一つなく晴れ渡った空の下、遠刈田温泉の宿を後にした我々は、車2台に分乗してえぼしスキー場手前の登山口を目指す。広い駐車場のある登山口付近は見事な紅葉で皆の歓声が上がる。 2週前に登った時は山頂付近の紅葉が最高だったので、今日辺り下部がベストではないかと睨んだが、真紅から朱色、柿色、濃黄、淡黄まで様々に色付いた木々が針葉樹の緑そして爽やかな青空と織り成す秋模様は例えようもない。
 
烏帽子岳 烏帽子岳 烏帽子岳 烏帽子岳
 
雨中の紅葉も風情があるが、やはり紅葉は青空の下でこそ映える。登山口の標高は約640m、気温は15度。ホオノキの大きな落葉が敷き詰められた沢沿いの緩やかな道を行く。小阿寺沢の渡渉点に来てみると、2週前には難なく渡れた沢が昨日の雨で増水し、飛び石が水面下になっており簡単ではない。 しかし、増水しているとはいえ濁流ではなく水は澄んでいる。ブナ林など豊かな自然林が残っている証拠だ。K氏が少し上流までルートを探しに行き、流木を橋にして何とか皆を通過させる。雨上がりの澄んだ空気の中、沢の対岸の斜面一杯に広がったハウチワカエデなどの紅葉に朝日が当たって実に素晴らしい。標高600〜800m付近が丁度盛りのようだ。 9時半、800m付近で一本目。 「まだ800?この高度計おかしいな」(と思ったが、後で確認したら正確だった) 気温12度、暑くて山シャツを脱ぎTシャツ姿になる。10時過ぎ、900m付近で2本目。大岩の間を縫う尾根の急登が続き、雲が少し出て風が強くなり一寸寒い。11時前、1020m付近で3本目。肺炎が治ったばかりのHさんは数歩毎に立ち止まって苦しそうだ。

ここまで上がるとミズナラ、ドウダンツツジ、ミネカエデ、ウリカエデなどのまだ色鮮やかな落葉がびっしりと道を埋め尽くしているものの、木々は皆葉を落として冬姿だ。谷向こうのえぼしスキー場のゴンドラ終点が目の下になって来た。 「あれー、ゴンドラが動いているよ。あれで登ればよかったかなー」 「スキーシーズン近いから試運転かもしれないよ」 樹間から雁戸山など北蔵王の峰々が良く見える。その右手彼方に広がる街並みをK氏の双眼鏡で確認すると高層ビルが立ち並ぶ仙台だった。その向こうに見えるはずの太平洋は霞んでいる。1200m付近で傾斜はようやく緩やかになり賽の河原を通過。12時過ぎ、えぼしスキー場への分岐に着いた。 このペースでは前烏帽子まであと30分以上掛かるので今日はここまでとし、シートを広げて昼食とする。気温は14度もあり、じっとしていても寒くはない。いつものYACならビールで乾杯してコンロで調理が始まるところだが、皆黙々とコンビニのおにぎりを頬張るだけ。 もっともY氏がウィスキーのポケット瓶を回してくれたので喉を湿らせる程度のアルコール補給はあったのだが。あっという間に終わった昼食撤収後、 「一応前烏帽子のピークまで行っとくか?」 「そうですね。行きましょう」 若手(といっても50代のおじさんだが)の3人は空身でピストンすることにして、Hさん達は先に下ってもらう。

 
烏帽子岳 烏帽子岳 烏帽子岳 烏帽子岳
 
小さな起伏の多い木の根道を右から回り込むように辿り、20分弱で前烏帽子の岩峰に立つ。西の空は雲っているが巨大な岩が折り重なった狭いピークの前面は遮る物がなく、スパッと切れ落ちて豪快な展望が広がった。 谷を挟んで右手(北)の後烏帽子岳から屏風岳、水引入道へと続く稜線が文字通り屏風のように聳えているが、左端の不忘山(南)は雲の中だ。2週前に来た時は盛りだったこの付近の紅葉はほぼ終わっていて初冬の雰囲気である。落葉の写真など撮りながら軽快に下ると10分強で分岐に帰着、デポしたザックを回収する。 荷も軽いので下りは早い。どんどん飛ばしてあっという間に1100m付近まで下って一休み。みかんを食べて歩き始めるとすぐ人声がした。30分足らずで追い着いたことになる。Hさんは岩だらけで段差の大きな急坂では足がいうことを利かずつらそうだ。

しばらく一緒に下ったが、15時に下山口集合のこともあるので、若手3人で先行する。800m付近まで下ると晩秋の傾いた陽に照らされて輝く紅葉が実に見事だ。あちこち写真を撮っている間にKN氏は消えてしまった。 「天狗みたいに飛んで行きましたね。私も下りは早い方ですが追い着けませんよ」 とY氏が驚いている。今朝苦労した渡渉点まで来てみたが、依然として水量多く飛び石が水に隠れている。KN氏の姿はなくどこから渡るか思案していると 「おーい、こっちだー」 彼が20m程上流から呼んでいる。後発隊フォローのためにKN氏が残り、我々二人は下山口を目指す。10分足らずで駐車場に帰着。しばらくして後発組も到着。登りではHさんが片足を滑らせて靴を水没させたが、帰りではTさんが水浴びしたらしい。   牧場に立ち寄って搾り立てミルクなど味わって帰途に着く。ともあれ蔵王へ単身赴任後初めてのYAC山行は何とか無事終了した。