紅葉の七ヶ岳からスキー場へ下る 1636m
 
日 時:2006年10月21日(土)
行 程: 630東京駅−930西那須野塩原IC−1030,1040章吾橋登山口〜1130,11351180m地点〜1245,1250七ヶ岳〜1255,1325稜線〜1415林道〜1515,1532アストリアホテル−1600,1605章吾橋−1640,1645アストリアホテル−1700湯の花温泉

ルート断面図とルート図
七ヶ岳断面図 七ヶ岳ルート
カシミール3Dにて作成しています

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予定通り6時半に東京駅を出発したが首都高が事故で大渋滞のため1時間遅れて西那須野塩原ICを降りる。国道400号で紅葉の気配もない塩原渓谷を抜け、塩原温泉・山王峠を経て野岩鉄道の高架をくぐって信号のあるT字路を右折するとすぐ左側に細い道がある。以前あった七ヶ岳の案内看板は撤去されているので気を付けていないと通り過ぎてしまう。 荒海川を小さな橋で渡り、突き当たりを左折、カーブが続く急坂の林道はしっかり舗装されていて中々立派な道だ。5分程で程窪沢に掛かる章吾橋に着いた。手前の駐車スペースは満杯なので20m先のスペースに車を置く。紅葉シーズンとあって人が多そうだ。 天気は快晴。高度計を960mに合わせ、軽くストレッチして10時40分歩き始める。緩やかな山道の両側にはシラカバ、ハウチワカエデ、ミズナラ、コシアブラ、イタヤカエデ、クロモジ、クリ、ヤマモミジ、ホオノキ、ブナなどの紅葉・黄葉が朝日を浴びて紺碧の空をバックに輝いていてそれなりに見事だが緑の葉も多く、盛りには少し早いようだ。 小さな沢を何度か渉る。気温は14度と10月下旬にしては随分暖かい。カケスがつぶれたような声で鳴いている。汗ばんだ頬に風が爽やかだ。平滑沢に入ると両側の山肌が迫って緩やかな傾斜の滑滝の沢歩きとなる。岩はフリクションが利くが水量が多いせいか前回より滑り易い。

七ヶ岳の紅葉 七ヶ岳の紅葉 七ヶ岳の紅葉 平滑沢 サラサドウダンの紅葉
 
時折、右を捲いたり左に渉り返したり、きれいな流れの中を歩いたりで一寸した沢登り気分を味わえて楽しいがホールドに乏しく初心者には厳しいだろう。1180m付近で1本立てる。大きなカツラのある1300m付近で枯れ沢となり、岩の間を抜ける道の勾配が増して来た。 溝状の急登から左へトラバース気味に登ると南面が開け、荒海山や日光連山の山波が見えた。直径1mに近い立派なブナが多くなったが、この辺りの木々はほとんど葉を落として冬姿に近く黄葉は盛りを過ぎている。木の根につかまり大岩の間を抜ける急登が延々と続き、汗が噴き出る。 ロープが3箇所張ってあった。背の低いウリハダカエデ、リョウブ、シャラ、ダケカンバ、シャリンバイ、シャクナゲなどの木々が森林限界の近いことを告げる。少し雲が広がって来た。気温は12度とほとんど下がらない。サラサドウダンの深紅の紅葉が印象的だ。 ようやく稜線に出ると大展望が広がった。那須、日光、会津の山々が無数に連なる雄大な景観はとても1600m級の山とは思えない。左の道は丸山への下りになっている。ここからは、数分であっけなくピーク到着。一等三角点のある狭い山頂には中高年登山者ばかり30名位ひしめいていて唖然。

山頂直下の大岩 七ヶ岳山頂 高倉山方面 高倉山の電波塔 七ヶ岳を降り返る
 
昼食の場所もないので写真だけ撮ってすぐ退散し、分岐から丸山方面へ少し下った斜面に陣取ってアルコール抜きの簡単な昼食を摂っていると中高年の団体が降りて来た。平滑沢がメインルートのはずだが、最近はこのルートがメインになったのだろうか? そういえばこのパーティーがあの平滑沢を登ったとは考えにくいが。 「あの沢を下るのは滑りそうでいやだな」 「じゃあ、丸山経由で回り込んで下ろうか」 「同じ道を下るよりその方がいいですよ」 このルートは初めてだが、25000図に点線があるから何とかなるだろう。歩き易い道だが、余り速く歩くと先程の団体に追い着くのでペースを加減する。黒森沢ルートを右に見送り大きく下って少し登り返すと、パラボラアンテナのある高倉山の横に出た。 風が強く木々がざわめいている。この辺りは【会津高原たかつえスキー場】の最上部に当たるらしい。七ヶ岳方面がよく見える稜線を丸山へ向かって下り気味に軽快な足取りで進む。丸山がすぐ目の前になった辺りに【約4km】の標識あり。

4km道標 たかつえスキー場を下る たかつえスキー場を下る たかつえスキー場を下る
 
どこまでとは書いてないが章吾橋までだろうと勝手に解釈して右へ下る道を辿る。いつまでも下るので変だなと気付いた時にはスキー場上部の林道に出ていた。右手の林道から単独の女性が下って来る。 「さっきの4km標識の所に踏み跡らしいのがあったよ」 Oの情報に従って登り返す。5分程で【約4km】の道標に戻ったが丸山への稜線は潅木が密生していて、どうみても足を踏み入れることは不可能だ。 「地図ではルートになっているのにおかしいな」 「かなり以前に廃道になった感じだよ」 「笹薮なら突っ込んでもいいけど、これじゃあナタがあっても厳しいな」 「鹿でも通れないんじゃない」 「時間も遅いしこれから七ヶ岳まで戻って平滑沢を下る気にはならないね」 「スキー場に下ってタクシーで章吾橋へ戻るしかないな」 「タクシー代は高そうだけど仕方ないね」 衆議一決、スキー場へ向かうことにする。15分程のロスだ。ミズナラやカラマツに囲まれた林道をのんびり下って行く。風に乗ってハラハラと散る針のようなカラマツの葉が夕暮れ近い秋の柔らかな陽を受けてきらめく様は中々ロマンチックだ。 唐松の枯葉舞うなり秋山路  右へ大きく回りこんだ林道はリフトの下をくぐって草に覆われたゲレンデの真ん中に出た。七ヶ岳山頂直下から1時間以上経つから休んでもいいのだが、草がクッションになって足も楽なので歩き続ける。レストハウスやホテルの横を抜けて延々と歩き、15時15分最下部のアストリアホテルに到着。  山頂付近から標高差700m、距離にして約5kmを1ピッチで下ったことになる。ホテルのフロントでタクシーを呼ぶが、遠くて高そうなので全員で行くことは止め、T・Kと3人で章吾橋へ車回収に向かう。30分で着いたが料金は何と7240円。1台にしてよかった。  酒屋でビールなど仕入れてホテルに戻り、待機組をピックアップして湯の花温泉へと向かう。

追記:今回は国土地理院の25000分の一【日光−糸沢】だけを使用した為に大失敗をしてしまった。昭文社【日光】裏面に【荒海山・七ヶ岳】が掲載されておりこれを併用すれば丸山へのルートがなくなっていることが判ったはずだが、今回昭文社の地図に載っていることを忘れて持参しなかった。地図は極力2つ併用すべきだし、出来ればGPS端末も装備したい。 さらに【日光−糸沢】では七ヶ岳山頂付近のルートも間違っていることを発見したのでルート図では訂正しておいた。これもGPSのトラックデータを入力すればさらに正確なルート図を作成することが出来る。今後の課題である。 とにかく山歩きでは国土地理院の25000分の一を信用し過ぎないことが重要である。