上州のマッターホルンに登る〜小沢岳1089m
 
日 時:2006年9月30日(土)
天 気:晴れ
行 程:710東京駅−900下仁田IC−935,945七久保登山口〜1022,1030椚峠〜1145,1215小沢岳〜1307,1447椚峠〜1510,1530登山口−1550,1630下仁田温泉(清流荘)−1640下仁田IC−草加IC−1845南越ヶ谷

ルート断面図とルート図
小沢岳断面図 小沢岳ルート
カシミール3Dにて作成しています

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「あー、あれか」 上信越道を下仁田ICで降り、提灯等秋祭りの飾り付けがされた下仁田の町を抜けて跡倉の交差点を左折し山間に指し掛かると、正面に正三角形に尖った小さな山が見えた。これが【上州のマッターホルン】と呼ばれる小沢岳のようだ。本家が聞いたら吹き出してしまいそうな可愛らしいマッターホルンではある。手軽に登れる割りに360度の展望が得られることで地元では人気のある山だそうだが果たしてどうだろう。 七久保橋を過ぎてしばらく狭い舗装路を走ると【小沢岳へ】の道標と案内板がある登山口に到着。ここは二股になっており、右は七久保の集落、左が小沢岳へ向かう林道だ。車1台がやっとの道で無理すれば進めそうだが短いコースでもあり車はここに残すことにする。 9時45分、身支度を整え登山者用と思しき古びたトイレの脇を抜けて歩き始める。すぐに舗装が切れてダートになり一部凸凹部分もあったが全体に歩き易い林道だ。樹間から覗く空はよく晴れている。杉の植林とクルミなどの自然林が交じり合って鬱蒼と繁った渓谷沿いの道を登って行く。気温は18度、空気が乾いて爽やかだ。

 
登山口 椚峠 椚峠 小沢岳 馬頭観音
 
道脇に紫色と黄色の舌状花が群落を成していた。「この花何かな?」「ツリフネソウと黄色いのはキツリフネですね」K氏は実に何でもよく知っている。小さな橋を渡り沢の左岸から右岸へ移る。堰堤の手前で沢の向こう側にワサビ田があった。七久保集落の人々が共同で栽培しているのだろうか?しばらくすると再び左岸の道となり八倉峠への分岐を過ぎるとすぐ小沢峠(別名椚峠)だった。標高845mの峠はきれいに整地されて車10台位は駐車出来そうだが先客はおらず、寛政十一年羊十月吉日と刻まれた馬頭観音が鎮座しているのみ。 ここからは小沢岳がよく見えるが、下仁田側からの三角形と違いなだらかな稜線上の小さなコブのよう。峠から先の道は営林署のゲートで閉鎖されており通行出来ない。【くぬぎ】と仮名が振ってある道標に従って山に分け入る。緩やかな尾根の右側は杉林、左はコアジサイ、イヌシデ、リョウブ、コナラ、ホオノキ、アセビなどの自然林が続いている。 径50cmを超える巨大なシャラノキあり。こんな大きなのは初めてだ。突然、左が大きく開けて幾重にも重なった山並みがよく見えるが知らない山ばかり。

両サイドが切れ落ちた痩せ尾根を通過したが、岩場にはなっておらず歩き易い。よく手入れされた杉林の中、小さな上り下りを何度も繰り返した後100m程一気に登り少し汗ばむ。11時半、1030mピークを通過。20m位下り最後の急な登りに掛かる。 「あっ、栗鼠だよ」 Hさんが指差す方を見たが姿を捉えることは出来なかった。ミツバツツジ、ドウダンツツジなど背の低い樹が多くなり、リスが齧ったらしい栗の毬があちこちに落ちている。11時45分、小さな大日如来像と三等三角点のある小沢岳の頂に立つ。東側は樹木に遮られているので360度とはいかないが、アカトンボが舞い、いわし雲が浮かぶ青空の下、素晴らしい展望が広がった。 ビールで登頂を祝う。アセビやわずかに色付いたドウダンツツジ、ヌルデ、ヤマウルシなどの木々に囲まれた狭い山頂からは果てしなく連なる山々が望めるが、見知らぬ山ばかりで西の烏帽子岳・荒船山、東に大きく聳える稲包山、北方彼方の妙義山くらいしか同定出来ない。北西に見えるはずの浅間山は霞んで見えない。

頂で見上げる空に鰯雲

 
巨大シャラノキ 杉林 小沢岳山頂にて 小沢岳山頂にて 小沢岳山頂にて
 
ネットで見たいくつかのサイトによればこの山頂には次々に登山者が現れるとあったが全く人の気配はない。気温は20度。暑くも寒くもない絶好の登山日和の中、展望を堪能して山頂を辞す。ヒノキの森に木洩れ日が差し、北東の風が爽やかに吹き抜ける。

木洩れ日を踏みつつ下る秋の尾根

登る時は気付かなかったが、地上1m位の枝に大きなアオダイショウがとぐろを巻いていてびっくり。体長は1m以上ありそうだ。Tさんと樹の同定をしながら少し遅れて峠に着くと早くもシートが敷かれて宴会の準備が出来ている。皆はウィスキーの水割り、ドライバーの小生には心優しいK氏がノンアルコールビールを用意してくれていた。 最近料理に凝っているというHさん手作りの牛蒡煮やカマンベールチーズ、漬物、春雨スープ、タマネギコンビーフ炒め、野沢菜コンビーフ炒めなど次々登場。定番の網焼き海苔餅、紅茶、デザートにグレープフルーツで仕上げ。 2時間近い宴を切り上げ、思い思いのペースでのんびり林道を下る。道脇に【手白沢林道】の標柱があった所をみると、この沢は手白沢というらしい。登りでは余り目に入らなかったが、よく見ると苔生した岩の間を清らかな水が豊かに流れて中々風情のある沢だ。車で通過してしまうのはもったいない。気温は18度、汗も掻かず快適に下る。

苔生した岩間を落ちる水清し

 
ヤマウルシ アオダイショウ 手白沢
 
15時過ぎ、登山口に帰着。下仁田温泉清流荘に立寄って露天風呂で疲れを癒す。日帰り入浴は午後2時までということだったが、30分位だったらとOKしてくれた。一人800円。予想に反して山も温泉も貸切で大満足の山旅となった。