新緑の茂来山(1717m)
 
日  時:2005年5月21日(土)〜22日(日)
天  気: 快晴のちくもり
行  程:21日 1005東京駅−1220須玉IC−1330,1340登山口下林道分岐点−1435登山口−1505尾根1550m地点−1520,1605茂来山−1630,1640登山口−滝見の湯−1900民宿 坂上館(泊)

ルート断面図とルート図
茂来山断面図 茂来山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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御座山に近いこの山は北面からの霧久保沢ルートと西から登る槙沢ルートが一般的なよう だ。しかし、25000図《海瀬》をよく見ると南側からのルートもあるようだ。標高差も小さくそれ程急登もなさそうだ。但し、アプローチの林道が荒れているらしい。 北岳や赤石、甲斐駒など南アルプスの峰が例年より雪が多いのを眺めながら到着した双葉SAで皆弁当やおにぎりを調達してそそくさと昼食を済ませる。天気はまずまずで、目の前に鳳凰三山が大きく聳えている。須玉ICを降りて国道141号を一路北上。赤岳や横岳など八ヶ岳にも雪が多い。

南相木村への新道を抜けて25000図を頼りに本村から親沢川沿いの狭い舗装路を登り親沢という集落を通過。しばらくすると道はダートになり、13時40分、林道が4つに分かれた地点に到着。そのうちの2つの道に《茂来山登山口へ》とある。 地図を見るとこの二つの林道はループになっていて上で合流しているのでどちらから登っても登山口に行けるようだ。ここの標高は1166m。25000図に拠れば登山口はここから1.5km先だから、轍がえぐれた通行止めの道を無理に車で行くこともない。 左の《一般車通行止め》の看板のある林道を歩き始める。くもりだが晴れ間あり、アカマツ林の樹間に青空が覗く。すぐに山菜取りらしい地元の人に出会う。
 
林道分岐 登山口
 
カラマツの登り カラマツの新緑
 
皆が立ち止まって道の様子を尋ねているが 「1.5kmなら歩いても大したことないよ」 Sさんと二人で先行する。林道の左下には人気のないミニゴルフ場。しばらく経っても後続が来ないなと思っているとエスティマがソロソロと上がって来た。車で行けると云われたらしい。再び車に乗り荒れた林道をゆっくり登って行く。 登山口を通り過ぎたと思って行ったり来たりした末、迷い込んだ行き止まりで運良く地元のおばさんに道を教えてもらい、ようやく立派な道標がある本来の登山口に到着。どうみても25000図の登山口からはかなり東にずれている。25000図は登山用ではないというもののこれだけルートが違うのでは役に立たない。 車数台分のスペースがあるこの登山口なら見落とすことはないから地図など見ない方がよかった。標高は1450m。ブルーのレガシーが停めてある。14時35分、改めて歩き始める。小屋泊まりでもないのにこんな時間にスタートするのは初めてだ。 アプローチでもたついたのが幸いして空はすっかり晴れ渡り、新緑をまとったカラマツ林の間から覗く蒼空に白雲がポッカリ浮かんでいるのが実に印象的だ。カラマツの新緑は今が盛りで独特の瑞々しい緑が清々しく、目に染みる。足元にはタラノメ、ゼンマイ、タチツボスミレ、ハンゴンソウなどが次々に登場。 気温は23度もある。緩やかな谷間から尾根に取り付き、斜度30度を越える急登になると汗びっしょりだ。そよ風が気持ちいい。15時過ぎ尾根に出て右に緩やかな道を辿る。ツツピー、ツツピーとヤマガラがのんびり囀る。標高は1600mを越えた。 この辺りまで高度が上がるとカラマツなどの若葉も芽吹いたばかりだ。アカマツ、シラカバ、ダケカンバ、リョウブなどの森となる。程もなく稜線に出た。すぐ右上が岩場になっており、あっけないことにそこがもう山頂だった。15時20分。登山口から1ピッチ、わずか45分である。
 
ミツバツツジ 山頂の石碑
 
八ヶ岳
 
小さな祠の横には《浩宮様登頂記念》という石碑あり。その脇には50cm四方の白い板が水平に取り付けてある。何かと思ってよく見ると《航空写真測量の目印》と書いてあった。気温は20度。盛りを過ぎたトウゴクミツバツツジやオオカメノキの白い花が咲く狭い山頂からはほぼ360度の大展望が得られる。 やや霞んでいるもののテーブル状の荒船山、ギザギザの妙義山、噴煙を上げる浅間山から湯の丸山、烏帽子岳、美ヶ原、蓼科山、北八つから天狗、硫黄、赤岳に連なる八ヶ岳連峰、甲斐駒や鋸岳、北岳、南には金峰、瑞牆山、男山、天狗山などなど。霞んでいなければ北アルプスも見えそうだ。

   唐松の新緑笑う茂来山

缶ビールで乾杯し、ワインの栓を抜く。いつもと違ってもう食事は済ませているし、シートも広げず皆岩角に腰掛けてしばし雄大な眺めを満喫する。山頂の一段下から若いカップルが上がって来たのを潮に腰を上げる。カラマツ林の急な下りではシジュウカラがせわしなく囀る。 夕刻になって光線の具合からかカラマツの新緑が何ともいえない緑色で一段と素晴らしい。正面に見える瑞牆山や天狗山がグレーのシルエットを描いている。いつしか空には一面に雲が広がって青空は見えなくなった。山頂から30分も掛からず登山口に帰着。 丁度、先に下ったカップルのレガシーが出発する所だった。彼らの跡を追うように林道を反対側へ下る。やけに揺れが激しい。舗装路に出てもガタガタと車のバランスが悪い。すぐに停めて確認すると左前輪がバーストしていた。林道の岩角か何かでパンクしたのに気付かず、そのまま下ったのでバーストしたらしい。

道理で揺れが激しかった訳だ。皆一瞬呆然としたが、K氏が工具を探し出して手際よくスペアタイヤと交換する。明るいうちで良かったが、あと1時間もして暗くなっていたら大変だったろう。車で山に来ると色んなハプニングがあるものだ。 修理を終え、来る時に目星を付けて置いた南相木村の《滝見の湯》へ向かう。たどり着いた村の共同湯は広々としているのに350円と都会の銭湯より安い。露天風呂は温泉のようだが沸かし湯らしい。色も臭いもないので、温泉好きのSさんは物足りなそうだ。 今回は全山を覆うカラマツの新緑が実に見事で強い印象に残ったが、北相木村の民宿坂上館の娘さんの話ではカラマツは材木としては価値が低いらしい。成長が早くて耐久性は高いので全国で植林されたが、反りが出るので嫌がられ、今では売れないとか。林野庁は何でこんな木を植林させたのだろう。杉や桧の植林も荒れた所が多いけれど、新緑や黄葉が美しいカラマツの森も放置されてしまうのだろうか?