小春日和の足和田山(1355m)
 
日 時:2005年11月26日(土)
行 程:河口湖IC−850,900文化洞トンネル−9281069m峰−1000,10071170m地点−1048,1055足和田山−1128,13001237m峰−1325,1358三湖台−1435,1500西湖民宿村−1510,1515文化洞トンネル

ルート断面図とルート図
足和田山断面図 足和田山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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よく晴れているもののやや気温が高いせいか遠くの山並みは霞んでいる。河口湖ICから河口湖南岸を西へ向かい、西湖手前の文化洞トンネル脇にある駐車場に到着。 高度計を920mに合わせ、9時丁度に落葉の積もったジグザグの急坂を歩き始める。気温は4度、無風。10分弱でT字路になった小さな鞍部に着く。右はかつて辿った十二ヶ岳への道だ。今日は左へ向かう。ヒノキの植林の静かな尾根道に左手から朝日が差して来て斜面が黄金色に染まった。

   朝日差す落葉の尾根は静かなり

この辺り既に紅葉の盛りを過ぎているが、所々ヤマモミジやダンコウバイのきれいな黄葉が残っている。ホオノキの大きな枯葉が塊っていて他の落葉を覆い隠している。このルートでは誰にも会わないだろうと思っていたのに早くも3人組の中年女性パーティーに追い着かれた。 左に河口湖、右に西湖がチラリと覗き、振り返るとスギ林の間から特徴ある十二ヶ岳の稜線が見える。

   枯葉踏む足音響く冬の尾根
 
十二ヶ岳 河口湖 急登の尾根
 
ミヤコザサ 足和田山 足和田山
 
9時半、1069mピークを通過すると道は大きく下っていた。急なので枯葉が滑って足を取られる。足元にマムシグサの紅い実があり。40mほど下った最低鞍部に西湖への分岐があり、そこから急な登り返しとなる。後ろの十二ヶ岳が段々大きくなり、左が開けて河口湖や三つ峠、黒岳などが青空にくっきり浮かぶ。 右の西湖の湖面も大きく広がって来た。ムラサキシキブのきれいな紫の実がびっしり付いていて、クロモジの黄葉と共に冬枯れのカラマツ林に彩りを添えている。高度が上がるに連れて落葉が分厚くなる。一旦傾斜が緩んだ道がまた急になった。岩混じりの斜面だ。 10時、1170m付近で一本立てる。西に薄っすら雪を被った山並が見える。南アルプスらしい。少し薄雲が広がって来た。北にはカラマツ越しに十二ヶ岳が立派。道に沿って意図不明のトラロープが張ってある。雨の時に滑るからだろうか?斜度が落ちた。ここまで来るとウリハダカエデ、リョウブ、コナラなどもうすっかり冬姿である。ハリギリの大きな落葉が目に付く。葉の細いスマートなミヤコザサがあり、枯葉の中で鮮やかな緑が際立っている。再び現れたロープ場を過ぎると平坦な道になった。

三湖台からの道と合流するとすぐ足和田山に到着。まだ11時前だ。 二等三角点のある平らな山頂には縄文時代の櫓のような木造の立派な展望台がある。そこに上がるとほぼ真南に富士山が異様な位大きく迫る。 逆光で判然としないが雪は少なく、七合目辺りまで斑に白くなっている程度だ。ここには《五湖台》の標柱があるが、スギやカラマツの森に遮られて河口湖と西湖しか見えない。気温は10度まで上がった。いくつもあるベンチでは数組のハイカーが昼食を摂っている。「やっぱりあの雪の山は南だよ。一番右が荒川と悪沢でそれから赤石、左の三角が聖岳だね。それにしても雪が少ないな」 Hさんが同定したが、後で地図を見ると荒川岳は西湖の真西に当たることが判った。少し戻って西へ向かう。 足和田山が本日の最高点なので、ここからは下るだけ。《東海自然歩道》ということでよく整備されており道幅も広く、マウンテンバイクで走ったら気持ち良さそう。

右下に西湖、左に富士山を見ながら落葉の絨毯を踏んでの稜線漫歩、緩やかに下って行く。そこら中、宴会場にふさわしいスペースあり。時々丸太で階段が作ってある。急坂を少し登り返して、11時半、四等三角点のある1237mピークの分厚い落葉の上にシートを広げ、開宴。ビールに続いてワインの栓を抜く。運転に備えてウィスキーは止めておく。今回は人数が少ないので、宴会としては一寸寂しいがメニューはいつも通り。チーズやたくあん、タマネギとベーコン炒め、野沢菜とコンビーフ炒めそして海苔餅で締め。脇を通るハイカーがうらやましげな視線を送ってくる。 気温は13度。風もなく穏やかな日差しを受けて少しまどろむ。正しく小春日和に包まれて日頃の猛烈なストレスから解放される瞬間である。一つ、また一つ枯葉が枝を離れてひらひらと舞い降りて行く。

   はらはらと枯葉舞うなり足和田山
 
東海自然歩道 富士山 三湖台
 
東海自然歩道 三湖台より 三湖台より
 
コナラ、ウダイカンバ、ミズナラ、ブナ、ウリハダカエデ、イヌブナ、モミなどが立ち並ぶ気持ちのいい落葉道をほろ酔い気分で辿る。コンクリートの階段が現れたが邪魔なだけ。どうしてこんなものを造るのだろう。13時半、三湖台(1202m)に着いた。周囲に遮るものがなく360度の大展望が広がっている。 大勢のハイカーがいるが、小学校の校庭くらいだだっ広いので気にならない。公園のように整備された広場の北端に東屋と山名表示盤があり。三つ峠から御坂山、黒岳、十二ヶ岳、鬼ヶ岳、王岳、天子山塊、西湖、精進湖と来て、その南の本栖湖や西方の南アルプスは霞んでいる。 富士山はほとんど雲に隠れてしまった。遠回りと人込みを避けるため紅葉台へは向かわず、西湖民宿村へ直接下るルートを選ぶ。この道は辿る人も少ない感じで、急な斜面に落葉が厚く積もって滑り易い。ここにもロープあり。下るに連れて、西湖の湖面が大きくなって来る。

空はすっかり厚い雲に覆われて西風が冷たく、気温は10度まで下がった。Hさんが遅れがちなのでK氏と先行する格好になってしまう。 「雉がいますよ」 前を行くK氏が囁いた途端、左下の草むらから 「バサッ」 と羽音がして、すぐ目の前を横切って大きな雉が飛び去って行った。驚かせてしまったようだ。 14時半、《西湖民宿村》到着。ここは富士急バスの始発点で待合所があるが誰もいない。案内板には数十軒の民宿が名前を連ねているのに全く人気がなく、河口湖周辺と比べると寂しい限りだ。15時のバスに乗り込み、文化洞トンネル駐車場に帰着。時間も早いのでカーナビで温泉を探してみる。大石の近くに《河口湖温泉》というのがあったのでそこを目指す。 《オルゴール館》の手前の湖岸に《あかり亭》という日帰り温泉あり。最近出来た循環温泉で一応露天風呂もあるが、狭くて情緒もなく、これで600円は高い。大石まで引き返して民宿《富士景》に投宿。改装したらしく、以前来た時よりきれいになっていた。