初秋の節刀ヶ岳(1736m)と釈迦ヶ岳(1641m)

日 時:2005年10月1日(土)〜2日(日)

【第1日】トリカブト咲き乱れる節刀ヶ岳
行 程:825河口湖IC―900,907林道入口−835,840登山口−1026,10351210m地点−1130,1142大石峠−1300,1330節刀ヶ岳−1437,1452大石峠−1546登山口−1605,1615林道入口−1700山中湖(泊)

 
ルート断面図とルート図
節刀ヶ岳ルート図 節刀ヶ岳断面図
 
カシミール3Dにて作成しています
 
写真をクリックすると拡大します。 また節刀ヶ岳の花は photos をクリックして下さい
 
登山口 大石峠にて 大石峠にて
 
7時50分、快晴の中央道藤野PAでT車と合流。河口湖ICから河口湖大橋を経て大石のペンション村に着いたが、ここから先の林道が工事で通行止めになっている。仕方ないので監視員に教えられた駐車場に車を置く。すぐ上をダンプが走り回っているので新車に石が飛んでこないか一寸気になる。 9時過ぎに歩き始める。気温は20度もあり、山シャツは脱ぐ。芦川村へ抜ける2600mの《若彦トンネル》大工事中で、狭い林道をダンプが頻繁に行き交う。しばらく進むと歩行者用迂回路あり。アカマツの中、随分上の方まで大回りさせられて早くも大汗。

工事現場を過ぎると、四駆でも厳しい位の荒れた道となる。9時半、キャンプ場跡に着いた。標高980mのここが登山口で立派なハイキング案内板あり。いきなり30度はあろうかというアスファルトの急坂だ。5分ほどで舗装路が尽きて山道となった。 以前と違って藪が道を隠しており、《大石峠へ》の道標を見落とさないよう注意が必要だ。少し下って沢沿いに登り始める。ヒノキの植林を進むと分岐が二つ続けて出てくる。どちらにも《右山道、左大石峠》という同じような道標が立っている。スギの植林に変わった。 峠道らしく歩き易い道端には枯れかけたサラシナショウマが寂しげだ。総状に咲く紫色の唇状の花が随分ある。ムラサキケマンかエンゴサクの仲間のようだが良く判らない。(帰宅してからセキヤノアキチョウジだと判明)道は藪を掻き分けるようになった。ハクサンフウロそっくりのピンクの花あり??? まさか?高山植物がこんな所に?図鑑をめくるとタチフウロと判明したが、葉までそっくりで驚く。アザミが道に覆い被さっていて痛い。緩やかなジグザグ道が続く。眼下にちらりと河口湖が見えた。1210m地点で1本目を取る。ヤマガラがツーピー、ツーピーを繰り返し、カケスがギャーと鳴く。 ジグザグの曲がり角に水場があった。両側に苔むした石積みがあるが、これも藪に半分隠れている。トリカブトが多いが色がかなり薄い。依然アザミ多し。


富士山 十二ヶ岳と河口湖 節刀ヶ岳にて
 
カラマツ林にミズナラやシラビソが混じる。きれいな青空に白雲が流れている。 高度が増すに従って富士が大きくせり上がり、再び河口湖の展望が広がった。11時半、大石峠到着。気持ちよい草原である。晴れ渡った秋空をバックに富士山が雄大な裾野を引いて実に大きい。 十二ヶ岳方面の展望も良い。芦川村への下り口のヤマボウシに紅い実がたくさん付いている。ここからは稜線歩きとなる。トリカブトの群落が多い。その周辺に何かを掘り起こした痕があったが、トリカブトをまとめて引き抜いていったのだろうか?シラビソとミズナラの森が続く。 気温は16度まで下がった。稜線を渡る風がヒンヤリ気持ちいい。南側が大きくガレた場所があり、荒々しく崩れた先に富士山と河口湖、三つ峠が望める。ミツバツツジ、ハウチワカエデ、オオカメノキ、モミ、ブナなどの木々に囲まれて展望のない道が続く。 足元にはコアジサイ、ヤマハハコ、ワレモコウそしてトリカブトの大群落。この稜線は十二ヶ岳と並行しているのだが、その向こうに富士山がのぞいている。モミの植林となり、何度も緩慢な上り下りを繰り返す。最後の大きな登りはかなり急である。右手前方にピークが現れて斜度が落ち、T字路にぶつかった。

左はかつて登った十二ヶ岳、鬼ヶ岳への道だ。右へ向かうとドウダンツツジがびっしりと斜面を埋め尽くしている。13時、山頂着。背の低いヒノキとドウダンツツジに囲まれた狭い山頂には三角点と《山梨百名山》の標柱があり、数組の登山者が昼食を摂っていた。 依然として空は快晴。展望は良好で、南アルプスは北岳から赤石まで確認出来る。富士山に全く雲が掛かっていない。北には奥秩父から大菩薩、手前には明日登る釈迦ヶ岳が三角に尖がっており、南には十二ヶ岳、鬼ヶ岳、王岳など。気温は20度、暑くも寒くもなく快適だ。食事を済ませる頃には少し曇って来た。 13時半、山頂を後に引き返す。黒岳、三つ峠、御正体、杓子山そして河口湖が良く見える。モミの植林が延々と続く。富士山にも小さな雲がちょこんと乗っている。稜線上は急に温度が下がり15度だ。木々を抜ける風が涼しい。ザワザワと葉が鳴る。クマザサの登り。頭上のナナカマドに紅い実がたくさん。

   天高く富士の高嶺に雲一つ

   瑞楢の梢を鳴らす秋の風

14時半過ぎ、大石峠着。再び快晴となった。陽が燦燦と降り注ぐ草原にしばし寝転ぶ。グレープフルーツを分ける。 「この花は何ですかね?」 新道峠からやって来たパーティーに聞かれた。節刀ヶ岳方面にはなかったが、あちらの道には随分多かったらしい。ピンクの小さな花がたくさん放射状に並んでいる。図鑑を調べるとギョウジャニンニクの仲間でネギ属のヤマラッキョウと判明。ここからはヒノキの暗い植林の中、快調に下る。 アカマツやカラマツの林を抜けると再びスギの森。オヤマボクチなど写真を撮りながら下る。《右山道・左大石峠》の標柱あり。薄暗い杉林をしばらく下ると右下に枯れ沢が現れた。沢を横切り右岸を下る。大きな堰堤を二つ過ぎると程なく舗装された道に出た。 すぐにキャンプ場の登山口を通過、工事現場に差し掛かると先行したパーティーが真っ直ぐ行くので、続いて林道をそのまま下る。下山した後であんな迂回路を登らされてはたまらない。ダンプカーに気を遣いながら、16時過ぎ駐車した場所に帰着。今夜の宿である山中ロッジへ向かう。


 
 
 


【第2日】レンズ雲の釈迦ヶ岳
行 程:845山中湖−1010,1028日向坂峠−1102府駒山−1145,1218釈迦ヶ岳−1303府駒山−1330,1345日向坂峠−1430河口湖IC

ルート断面図とルート図
釈迦ヶ岳断面図 釈迦ヶ岳ルート図
カシミール3Dにて作成しています

写真をクリックすると拡大します
今日も快晴、富士山にはわずかに雲が掛かっている。セブンイレブンで昼食を調達して、昨日と同じ富士五湖道路、河口湖大橋経由で御坂トンネルへ向かう。長いトンネルを抜けてしばらく下り、日向坂峠へと向かう林道に入る。またもや工事中。通行止めを心配しながら砂利道を登る。 しばらくすると以前の舗装路に戻ってほっとする。ヘアピンカーブの連続でどんどん高度を稼ぐ。空は雲ひとつなく晴れ渡り、奥秩父の峰々がくっきりとスカイラインを描いている。立派な標識のある日向坂峠(別名どんべえ峠)に到着。支度を始めたらT車の様子がおかしい。 何と左前輪がパンクしている。道に落ちていた岩角で切れたらしい。20分程でタイヤを交換し、10時半、ヒノキの植林を登り始める。気温は23度まで上がっており夏山のよう。すぐにブナ、ミズナラ、リョウブ、ハウチワカエデ、ミツバツツジなど明るい落葉樹林となるが、まだ紅葉には早い。
 
奥秩父方面 釈迦ヶ岳にて 石の地蔵
 
富士山 節刀ヶ岳
 
トリカブト、オヤマボクチの花。左前方に十二ヶ岳や昨日歩いた節刀ヶ岳の稜線が見える。左手の谷をへだてた黒岳の稜線の向こうから富士山が頭を覗かせた。緩やかな散歩道のようなので、皆賑やかにおしゃべりしながらのんびり歩いている。ヤマモミジ、コハウチワカエデ、マンサク、ウリハダカエデ、エンコウカエデ、コアジサイなどY夫人に教えながら歩く。 シジュウカラがツッツク、ツッツクとせわしない。11時、三角点と山名標識のある府駒山(1562m)を通過。前方に目指す釈迦ヶ岳の鋭い三角のピークが見える。ここから少し下りになる。コメツガやヒノキの中、最後の登りは短いがかなり急だ。頂上直下の岩場に太いマニラ麻のロープが数箇所張ってある。

11時45分、岩峰の上に飛び出すと一気に見晴らしが開け、二つの石の地蔵さんを越えると山頂だった。狭いピークでは家族連れの3人パーティーが昼食中。360度の大展望が素晴らしい。南に大きく富士山、黒岳から十二ヶ岳、節刀ヶ岳、王岳、遥か彼方の南アルプスは雲に隠されている。 北には甲府盆地を隔てて八ヶ岳、その手前には茅ヶ岳。さらに東には金峰、国師など奥秩父の峰が続く。そして大菩薩から大蔵高丸を経て滝子山に至る小金沢連嶺。最後は鶴ヶ鳥屋山、本社ヶ丸、三ッ峠と来て黒岳に戻る。北の空に大きなレンズ雲が現れた。

レンズ雲    峰の秋空にふわーっとレンズ雲

   レンズ雲秋空高く輝けり

   秋の山手が届きそうレンズ雲

   頂でレンズ雲見上ぐ釈迦ヶ岳

   腹減りて鯨に見えるレンズ雲

さて、そろそろ帰るとしようか。