新緑浅き今倉山(1470m)

日 時:2003年4月29日(火)
天 気:快晴、気温高し
行 程:650駐車場−820,845カヤトの原−905,910今倉山−950西ヶ原−1010,1035松山−1045,1307西ヶ原−1345,50ハラシマ沢−1410林道−1420,1530駐車場

ルート断面図とルート図
今倉山断面図 今倉山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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車の中で朝食を済ませ、7時前に歩き始める。道坂トンネル前の駐車スペースには車が3台。うち2台の人達はもう出発したようだ。天気は快晴。気温は14度。トンネル入り口の脇の登山口からいきなり急登である。植林されたヒノキの若木の間にキブシの黄色い花がぶら下がっている。シジュウカラやウグイスの囀りが朝の空気を華やかに彩る。 新緑の季節には少し早過ぎたようで、辺りの木々は小さな若葉を開いたばかり。これでは同定が難しいが、株立ちした木がたくさんあるのはクロモジのようだ。コナラの下にタチツボスミレが楚々と咲いている。7時20分稜線に出た。咲き残った小さな桜はマメザクラのようである。 朝日が燦燦と降り注ぎ、気温は20度まで上がった。汗ばむ陽気である。木々を吹き抜けるそよ風が心地良い。ダンコウバイの若葉にはうぶ毛がびっしり生えているので白く光って見える。ハウチワカエデの新葉は紅い縁取りがきれいだ。

若葉萌ゆ 今倉の尾根 清々し

落葉松の 芽吹きの色に 包まれる

ミツバツツジの花が数輪残っている。左上に姿を現した今倉山と松山がカラマツの新緑に覆われている。この木の若葉は近くで見ると濃い緑だが、遠目では淡い緑になって何ともいえない風情がある。振り返ると御正体の大きな図体の真上に被さるように白い富士山が頭を出している。左はカラマツ林、右はミズナラ林。ミズナラの芽はまだ固い。尾根道を爽やかな風が吹き抜け、針葉樹のいい香りが漂う。5本位に幹分れした巨大なミズナラが道のすぐ脇に立っている。あれこれ観察しながらゆっくり歩いているので単独の男性に追いつかれた。この辺りまで標高が上がるとマメザクラの花が満開である。下向きに咲く小さな花弁が可愛らしい。この木は富士山周辺の山に多いのでフジザクラとも云われるそうだが、この山にも随分多い。モミが現れた。ヒトリシズカやキジムシロがぽつんと咲いている。少し降って急斜面を登り返すとカヤトの原に出て展望が開けた。富士がでかい。

薫風に 木の香芳し 初夏の尾根

つつましく 咲き華やぐや 豆桜

カラマツ林が続き、斜度が落ちて来た。シラビソやマメザクラが多い。再び急登となり、富士山が益々大きくなる。ブナが現れ始め、緩やかな斜面をたどると今倉山に着いた。3等三角点があるが、平坦な山頂で山名表示がなければ頂上とは気が付かないかもしれない。立派なブナに囲まれてほとんど展望はなく、木々の間からわずかに見える北面は霞んで山は見えない。カケスがギャーと鳴く。


今倉山への登り 御正体と富士山 ハラシマ沢の下り
 

左に折れてモミの林を緩やかに下って行く。依然として空にはほとんど雲はなく風が上空を舞ってゴーゴーうなっている。ダンコウバイに似た小さな黄色い花を付けた木が随分たくさんある。花弁が透明なのでアブラチャンのようだ。アカマツだろうかヒノキだろうか、またいい香りがする。フィトンチッドがたっぷり飛んでいそうだ。シジュウカラが競い合うようにせわしなく囀っている。

蒼天に 風騒ぐなり 今倉山

何度か登降を繰り返し、10時前に西ヶ原の鞍部に到着。緩やかな明るい斜面にブナの大木が点々とし、株立ちしたアブラチャンやマメザクラ、ハウチワカエデ、シャラなどがまばらに生えている。10時過ぎ、展望が大きく開け松山に到着。先客は先程抜かれた単独男性のみ。ここは今倉山と違って360度の大展望が楽しめる。4年前に来た時にはなかった山名表示盤を見ながら山座同定してみる。北は霞んでいるが、東には今倉山その左奥に赤鞍ヶ岳、その右には加入道、大室山から檜洞丸など丹沢の山々。南には先月登りそこなった菰釣山の稜線が長々と連なっている。そして、どーんと大きな御正体とその奥に富士山、更に鹿留山、杓子と続く。しばらくして次々に中高年登山者が登って来たのを潮に西ヶ原へ戻り、登山道から外れた窪地の疎林にシートを広げる。周囲にはアブラチャンの花が咲いている。ビールで乾杯。コンロで餅入り鍋焼きうどんを温め、漬物や手作りの惣菜をつまむ。冷えた日本酒を少し飲ると眠くなってしまった。初夏の明るい日差しの中でしばらく午睡を楽しむ。

1時過ぎ撤収し、ハラシマ沢への道を下り始める。谷間の枯れ沢の急降下で、所々ロープが張ってある。30分程降ると水が湧き出した。しかし、しばらくするとまた伏流して枯れ沢に戻ってしまう。何度か沢を渡り返す。昭文社の地図にもないルートで余り人が通らないらしくて道は判り難い。注意していないと道を見失うので、多少ルートファインディングの楽しみがある。南面の谷なので新緑が濃い。マンサクの若葉が艶やかに光り、ブナの新緑が瑞々しい。ミツバツツジのピンクの花が目立つ。斜度が落ちてヒノキの植林を少し降ると林道に出た。そこからアスファルト道を10分もたどると朝出発したトンネル前の駐車場に帰着。帰路はさすがに少しばかり渋滞した。