南伊豆歩道と妻良の海

日  時:2003年11月22日(土)〜23日(日)
 
ルート断面図とルート図
南伊豆歩道断面図 南伊豆歩道ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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【第1日】
天 気:快晴のちくもり、風強く波高い。気温高い
行 程:850沼津IC−1350,1400妻良駐車場−1415,1447入間−1510吉田駐車場−1520吉田登山口−1610,1615海が見えるベンチ−1655,1710妻良駐車場−1720民宿(丸木)

沼津IC近くのセブンイレブンで先着したI、K氏と合流。妻良を目指す。中伊豆の道は渋滞するので伊豆半島の西海岸沿いの道を忠実にたどることにする。混んだ沼津市街地を抜けるとすぐ駿河湾を挟んで雪を被った富士山が見え出した。東名から見たのより遥かに大きい。抜けるような青空、紺碧の海に浮かぶ白い富士。入り江の浜に打ち寄せる波が描く白いカーブが蒼い海に映えて印象的だ。岬を回る度に少しづつ見え方が変わる。あちこちの山から見慣れた富士山だが、海越しに眺めると一味違って大感激。南面なので雪は八合目位までしかない。所でこの海沿いの道は景色もいいが道幅が狭く急カーブやトンネルが続き、アップダウンも激しくて思いの外時間が掛かる。

駿河湾に浮かぶ富士山 堂ヶ島にて 吉田駐車場付近
 

   海蒼く 冬空浮かぶ 白き富士

堂ヶ島で海岸に下りてみた。荒波が大岩にぶつかって激しく砕け散る様は豪快。波しぶきが5m位上がっている。昼食は遊味亭という海鮮の店。メジカツオの刺身定食を食す。カツオというよりマグロの感じで脂がのっているのにしつこくない。鮮度抜群。伊豆グルメ探求の旅は幸先良いスタートを切った。13時50分妻良の駐車場に到着。2台を残して入間へ。14時15分入間漁港駐車場着。ここから妻良目指して歩き始める。気温は18度もあり暑い。トベラが多い。初めて見た時はシャクナゲと間違えた位葉が似ているが海沿いに自生する木だ。ツバキが紅い花を付け、カラスウリの赤い実がぶら下がっている。舗装された林道の終点に《猪のワナあり危険立入禁止》の表示があった。港まで戻ったら地元の人に「左の柵がしてある道を行けば大丈夫だよ」と教えてもらったが、もう時間も遅いのでコースを半分に短縮し、中間点の吉田へ移動して妻良までの4kmを歩くことにする。15時10分吉田駐車場発。15時20分登山口通過。かなりの急登が続くが、時間が遅いし荷も軽いのでどんどん飛ばす。こんな本格的な山道とは思ってないのでヘッドライトも持って来なかった。

17時には暗くなるから余裕はない。潮騒が響くけれど沢筋の登りで海は全然見えない。ずっと海を見ながら歩くのかと思っていたので期待外れだ。15時40分《妻良まで3.2km》の標識通過。日没は16時30分頃なのでその時刻には海が見える場所にいたい。シイノキなどの照葉樹が密生して薄暗い道が続いたが15時55分ようやく海が開けた。「うわー、すごいねー」スカッと晴れ渡った空の下、断崖の下には群青の海が広がって水平線までくっきり見える。普通の山歩きでは得難い豪快な景観である。16時《妻良まで2.4km》の標識あり。明るいトベラの林が延々と続く。16時10分《妻良まで1.9km》地点にベンチあり、一本立てる。50分で半分来たから中々いいペースだ。

1.9km地点 夕陽が沈む瞬間 夕陽に映える妻良付近
 

小さな沢沿いに登降を繰り返し、岩だらけで歩きにくい道をたどる。何とか目標の16時30分に海の見える場所に立つことが出来た。《あと1.5km》地点だ。夕方になってもよく晴れているので水平線に沈む夕日を大いに期待して来たのに、太陽の位置はかなり南寄りで左の岬の影に隠れている。「もう一寸で見えるのに残念!!」「せっかく雲も掛かってない絶好のチャンスなのにもったいないねー」それでも周囲の雲が紅く染まって何ともいえずロマンチックでいい雰囲気だ。ここから道は海から離れて右に折れ、沢筋の急な登りとなる。

やけに暑いと思ったら気温が21度もある。しばらく登ると道は平らになった。先頭のI氏が「見えるよー」と叫んだ。急いで駆け寄ると完全に沈む直前の数秒オレンジに輝く夕陽のかけらが見えた。ほんの一瞬だったが、迫力ある光景に出会えて皆満足そう。日没は16時38分だった。夕暮れの空に広がった雲が残照を一杯に浴びてピンクに染まっている。すぐに舗装された林道に出た。17時前に妻良の駐車場に着いた時には夕闇が迫っておりあと少し遅かったら夜道で難渋する所だった。

   夕雲が 紅く染まれり 冬の海


今日は軽い散歩のつもりが結構上り下りがあって刺激的な運動になった。17時15分民宿丸木着。待望の夕食は伊勢海老の刺身一人一匹づつ、大皿に刺身盛合せ、ムツの煮付け、貝の味噌汁、海草や魚の天婦羅、自家製野菜の煮物などほとんど地元の食材を使った素朴だが鮮度最高の料理に大満足。風呂は温泉ではないが24時間入れるのがいい。難点は民宿前の道が狭くて車が入れず、港の駐車場まで100m程歩かねばならないことだ。



【第2日】
天 気:晴れのちくもり、風弱く波穏やか。気温高い
行 程:930宿−石廊崎−奥石廊崎−吉田−1045入間−1130,1140千畳敷−1220,1240入間−1300吉田

妻良の海 妻良の海

5時起床。夜明け前の小さな漁港は操業を終えた漁船の後片付けをする漁師や出発待ちの釣り客で活気に溢れている。5時50分、まだ真っ暗な漁港の浜から漕ぎ出す。昨日と違って波は静かだ。東の空が少し明るくなった。ライトを点けた漁船が追い抜いて行く。追い風でピッチは快調。昨日歩いたコースを見に行く。20分程でそれらしい岬に着いた。薄暗いのでよく見えないが最後に夕陽を見た場所と思われる。水は抜群にきれいなはずだが、暗くて透明度の高さを実感出来ない。引き返して来る頃には日が昇ったので断崖の洞窟が見えるようになった。向い風が強くて中々進まない。我がスターンズは少し空気が抜けて凹んで来た。早く着かないと沈没だ。二人で懸命に漕ぐ。何とか無事港までたどり着いた。やれやれ。6時50分帰着。ちょうど1時間の海上散歩だった。

港の一角にある公民館のトイレの水道を借りてカヌーなどの潮を落とす。宿へ戻ると丁度朝食の支度が出来た所だった。昨日の伊勢海老の頭入り味噌汁が豪快。干しておいたウェットスーツなど取り込んで9時半出発。 天気はくもりで少し晴れ間がある。昨日行けなかった入間〜吉田コースに再挑戦。入間口から竹林やアロエ畑の間を縫う狭い林道を抜けて入間漁港へ。10時45分スタート。途中まで昨日と同じ道をたどり林道分岐から左へ柵の横を抜けて進むと10分程で本来のルートに合流した。どうやら海沿いに登ってくる道があるようだ。ハゼノキの紅葉があちらこちらに目立つが、Tシャツで歩けるほど暑いので《紅葉》があるのは場違いな感じ。

千畳敷にて 千畳敷にて 千畳敷にて エメラルドグリーンの海

「あれー、アジサイが咲いているよー!」確かに大きな枯れ株の中に一輪だけ小さな青い花が残っている。舗装された林道を緩やかに下って行くと吉田から来た10人位の若い男女のグループと出遭った。この先の富戸の浜と吉田の間で道が崩壊しており、ルートが判り難いと教えてくれた。間もなく着いた林道終点から左に折れて、千畳敷まで階段道を一気に下る。ここも断崖から紺碧の海がドーンと見えて迫力満点。眼下の岩礁一帯の浅い海は碧に澄み切ってまさにエメラルドグリーン。写真を撮りまくる。ポカポカ暖かく断崖沿いの道にはアザミやイソギク、ツワブキなど色んな花がたくさん咲いている。さすがに南国である。11時45分林道終点まで登り返したが、今から吉田まで歩くと帰りが遅くなるのでここで終わりにして引き返すことにする。12時過ぎ道標のある合流点通過。ここから本来の海沿いルートを下るがえらく急な道だ。所々展望が開けて海が見える。恐る恐る断崖絶壁の上から覗いてみると目の下が垂直にドーンと切れ落ちて迫力ある光景だ。12時15分入間登山口帰着。正規の登山口には《富戸の浜と吉田の間崩落の為通行止め》の看板があった。吉田へ戻り車を回収して13時帰路に着く。