新緑輝く大嵐山《おおあれやま》(1635m)
 
日 時:2002年5月19日(日)
行 程:730湯の花温泉湯本屋−745登山口−800湯の倉山分岐−835,8451050m地点−950,9582本目−1010稜線−1102,1142大嵐山−1300,1340沢源頭―1400湯の倉山分岐―1410登山口

ルート断面図とルート図
 
大嵐山断面図 大嵐山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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小雨のぱらつく塩原温泉を抜け、南会津の湯の花温泉に着いたのは3時前。早速宿の風呂へ。無色透明の単純泉。翌朝、5時起床。くもり。急坂で狭い林道のどんづまりが登山口だった。大きな案内板がある。杉林の急登をほんの少し辿ると草に覆われた廃道に出た。ワラビ、タチツボスミレ、エンレイソウ、チゴユリなどが点在する。白い花が可愛いニリンソウの群落があった。沢筋なので圧倒的にトチノキとサワグルミが多い。他にはイタヤカエデ、ブナ、カツラなど明るい緑の若葉に朝日が当たって豪華な新緑。落葉樹の自然林の美しさはやはり格別で、特に今日は雨上がりの好天だから若葉が一段と瑞々しく輝いて最高。

 
湯元屋 湯の花温泉 沢筋の登り
 
昨日の雨風が激しかったのを物語るように鋸歯のないイタヤカエデや奇数羽状複葉のサワグルミの小枝や若葉がたくさん落ちている。拾ってみるとまだ薄くて柔らかい。イチリンソウの透明な白い花が可憐だ。左は滝沢、右はサワグルミの純林である。若葉をまとってスラーっと真直ぐに伸びたサワグルミが林立する様は清々しく、大自然の力強いエネルギーを感じて実に気分がいい。枯れたカツラの巨木が何本もあり、その根元から大きく育ったひこばえがたくさん株立ちしている。時折小さな流れを右に左に渉り返しながら、道はずっと沢沿いをたどっている。沢の苔むした岩にネコメソウの黄色い小さな花がへばりついている。青空が広がり、白い雲と若葉が見事に映える。沢水が尽き、谷が大きく広がって明るくなった枯れ沢の沢床を行く。ニリンソウの大群落が斜面を埋め尽くしている。わずかに残雪あり。岩が皆コケで覆われており滑る。サワグルミの幹はじっとり湿って冷たい。ハウチワカエデの若葉が透き通っている。ホオノキの芽吹きは紅くてさすがに大きい。

ようやく枯れ沢が終わり尾根道となった。会津駒が真っ白だ。緑のキャンバスにガクアジサイに似たオオカメノキ(別名ムシカリ)の大きな白い花が華やかさを添えている。その近くにアカヤシオが2輪、こちらはひっそりと咲いている。ダケカンバの巨木が現れたが、芽がまだ小さい。急斜面には根曲がりブナが多い。ヤマブドウがそのブナに大蛇のように巻き付いて食い込み、すさまじくうねっている。アカヤシオとオオカメノキが紅白のセットで花を咲かせており、ハウチワカエデには小さな紅い花がぶら下がっている。タムシバの白い花はコブシに似ているがかなり大きく目立つ。そろそろ稜線のはずだ。田代山や会津駒が迫力を増してきた。

ブナの幹がビショビショに濡れている。幹全体がスポンジのように昨日の雨を吸って水を貯め込んだのだろう。クロマツ、気孔帯がXのサワラ、3mはあろうかという背の高いシャクナゲなどが目に付く。クマザサの中にクロモジの小さな花と芽吹き、その横には会津駒の白い峰。シャクナゲの森を抜けて、やっと稜線である。一気に東面の展望が開けた。この辺りのタムシバはまだつぼみである。ようやくウグイス登場、さかんに囀っている。ツバメオモトが瑞々しい花を付けており、真っ赤なアズマシャクナゲが目を奪う。わずかに残雪を踏む。高度が上がったので、ブナ、サワグルミ、リョウブなど若葉が開いたばかりだし、ダケカンバに至ってはまだ冬姿だ。葉が十字対生のツクバネソウあり。ショウジョウバカマがたくさん咲いているが、余りパッとしない花だ。ドウダンツツジのような5mm位で紅い壷型の花が枝にまばらに付いている。図鑑に拠れば、スノキのようだ。会津駒の左に燧も見えた。傾斜が落ちてやっとピークに到着。

 
燧岳と会津駒 七ヶ岳方面 山頂にて
 
細長い山頂は背の低いツゲに覆われ、ダケカンバの若木がぽつんと1本立っている。会津駒から燧、田代帝釈、七ヶ岳、荒海太郎、那須連山、日光連山、高原山など360度の大展望を存分に楽しむ。リョウブ、シャクナゲ、クマザサを縫ってやせ尾根を下る。ツバメオモトはすっきりした緑の葉に白い花が良く似合う。大岩を巻く。ナナカマド、オガラバナ、ブナ、ダケカンバの林に若葉が輝く。細い枝を埋め込んだ階段を下る。湯の倉山へ下る分岐から枯れ沢に入る。クロモジの若葉。キブシの花が咲き、涼風が頬をなでる。1時、源頭に出た。この滝沢は明るい緑のコケがきれいで箱庭のよう。右岸の捲き道は歩き易い。鹿の糞が大量に落ちている。湯の倉山へ登る分岐を経て程なく旧林道に出た。2時過ぎ登山口到着。