檀香梅咲く加入道山(1418m)
 
日 時:2002年3月23日(土)
行 程:940登山口駐車場−1020,1025四阿−1145,1155稜線−1208,1335加入道山−1354稜線下り口−1445,1450尾根道−1500四阿−1530駐車場

ルート断面図とルート図
 
加入道山断面図 加入道山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

枠のある写真をクリックすると拡大します

今日の加入道山(かにゅうどうやま)は丹沢北端の山だから、例年であれば雪がたっぷり残っているはずだが果たしてどうだろう。中央道を相模湖ICで下り、藤野、月夜野経由道志の湯に着いたのは9時半。さすがにこの辺りの桜はまだ咲き始めである。周囲の山々は白い雲の中に黒く浮んで幻想的だ。小広い駐車場には数台の車が駐めてあり、車の脇にテントを張っている人もいる。出発しようとした丁度その時、厚い雲が切れてわずかに青空がのぞいた。道脇には早春を告げるダンコウバイやキブシの花が目を引く。

山道に入るとすぐ「広葉樹試植林」の看板があり、辺りの木々には「ミズナラ」「トチノキ」「ホオノキ」「ハンノキ」等と名札が付けてある。すぐ上の水源涵養林に入ると、墓標のような高さ1.3m程の白い柱が1m間隔で何百本も林立する異様な光景が広がった。大きな看板の説明文には、横浜水道局水源涵養植林として落葉樹を1万本植林したとある。まばらなヒノキ林の中に苗木を植え、鹿除けの為に1本1本白いプラスチックのカバーをかぶせたようだ。生分解性プラスチックだそうで大きくなる頃には朽ちてしまうのだろう。落葉樹を植えるのは大賛成だが、山の中に白い柱が無数に立っているのは不気味である。白柱が尽きると今度は鹿除けの金網があった。これも真新しい滑り台のような木の橋で金網を越えるようになっていて、苗木の横には目印の赤い棒が立てられている。大きなアカマツの間をたどると、どこかでウグイスが短くさえずっている。ハンノキの実が沢山落ちている湿った赤土の道を緩やかに登って行くと、日が差して暑くなった。いつしか植林は終わり、クマザサの中を右へ捲くと、ハンノキやミズナラの巨木にツルが絡まっている。

加入道山への登り ダンコウバイ 山頂の避難小屋 加入道山山頂
 
ダンコウバイとキブシの花が陽に映え、あちこちに若葉が芽吹いて春爛漫である。ダンコウバイの花は地味で小さな花だが、冬枯れの渓谷の中では明るく目立ち、そこだけ春が来たようで心が和む。湯花の沢の右岸を登って行くと、四阿(あずまや)に到着。横に大きな案内図があるが、大雑把な絵図面で何の参考にもならない。ここから湯花の沢を離れ尾根の急登となる。シナノキやホオノキの間を抜ける風がヒンヤリして、汗ばんだ肌に心地いい。

春の陽に 壇香梅の 照り映えて

枯れススキの原を越え、延々と尾根の右を捲くように進む。白い樹皮がダイヤ状に十字に剥がれるヤマナラシが数本あり。高度が上がったせいか、西風が冷たくなる。アカマツの尾根を直上するようになり、岩混じりの急登が続く。辺りはヒノキの植林になった。 赤土の道は濡れて滑りやすく、皆足を取られている。「白石峠まで25分」の道標あり??まだそんなに遠いのか?植林を出てブナやミズナラの雑木林になりクマザサの間を行く。道は左にカーブして再びヒノキの森へ。日が陰ると寒い。ようやく植林が終わり、右へトラバースしてガレた枯れ沢を横切る。

昨夜は雨だったのか、そこら中の枯れ木の枝に乗った水滴がキラキラ光っている。この辺りまで登ると木々は皆冬姿で春の気配はない。展望は良くなったが、霞んでいて四囲の山は良く見えない。12時近くなって、ようやく稜線に着いた。ここから右へ少し下ると白石峠、左へ登ると加入道山である。頭上のどんよりした雲からチラチラあられが舞い落ちてくる。風が弱いので助かるが、結構冷えてきた。ウリハダカエデ、リョウブ、ブナ、モミ、イヌブナなどが現れたが、この辺りには樹皮を鹿に齧られた木が多い。程もなく加入道山の平らな山頂に着いた。12時を少し過ぎている。山名表示板の横にテーブルはあるが椅子はない。シロモジやクロモジなど株立ちした細い木がびっしり生えていて展望は良くないが、木の間越しに左には道志の山並みが見える。右奥には大室山へのなだらかな稜線が続いている。

ピークのすぐ右下に立派な避難小屋があり、中はきれいなのでここで昼食とする。小屋の内部は半分板敷き、半分土間でちり一つ落ちておらず、毛布や布団まで備えてある。土間には大きな木のテーブルがあり、切り株の椅子も並んでいる。下り始める頃にはあられも止み晴れ間が広がって来た。真っ白な富士山の右に三つ峠、さらに右は今倉山だろう。今下ってきた加入道の稜線も遠くの山並みもはっきり見えるようになった。先程までとは打って変わり、ポカポカ陽気でのどかな尾根をのんびり下って行く。正面の富士山は7合目から上を雲に覆われている。手前には御正体、鳥の胸山。この辺り立派なブナが多い。かなり下ってようやく今朝休憩した四阿を通過。エノキの大木が聳えている。葉が鋭く尖った針葉樹あり。触ると硬くて痛い。カヤのようだ。緩やかな道をたらたら下って行くと鹿避けフェンスが現れた。白い墓標の間を抜けると駐車場はすぐだった。直ぐ下の村営「道志の湯」でさっぱりして帰路に着く。

参考:道志の湯 村外大人2時間500円