残雪の赤鞍ヶ岳(1257m)
 
日  時:2001年3月24日
行  程:630厳道峠−650,710 尾根−(745)御牧戸山−815,835 長尾山−935,947 無名峰−(1002)大栗分岐−1020,1035 赤鞍ヶ岳−1100,1610窪地−1655,1700 長尾山−(1717) 御牧戸山−1738厳道峠

ルート断面図とルート図
 
赤鞍ヶ岳断面図
 
赤鞍ヶ岳ルート図
カシミール3Dにて作成しています

今年の3月は異常な暖かさが続いていたが、さすがに標高800m近い厳道峠の朝は結構冷える。予報の通り天気は良さそうだ。20m程上の送電鉄塔のうなりが聞こえる位静かな朝である。林道開通記念の石碑がある駐車場のすぐ脇からアカマツとヒノキの林を歩き始めるといきなり急登である。送電鉄塔に着くと、左が開けて富士山が大きく姿を現した。再び植林に入る。30度はありそうな急斜面なのに、ルートはジグザグが切ってなくてほとんど直上している。ぐんぐん高度を稼ぐと20分程で下生えがクマザサになり少し傾斜が緩んできた。この辺りのヒノキは枝の付け根の方から枯れてしまっている。酸性雨の影響か?右下の北斜面にはわずかに雪が残っている。西へ向かう尾根が細くなって南側が開けると大室山、桧洞丸、蛭ヶ岳など丹沢北部の山々が連なって現われた。霞んではいるが堂々たる山容だ。ダンコウバイの透き通るような黄色の花に朝日が当ってきらきら輝いている。

   朝日浴び 黄花輝く 壇香梅

富士山 富士山
 
すっかり斜度も落ち、辺りはクロモジ・ウダイカンバを始め、イヌシデ・コナラ・ミズナラ・ウリハダカエデなどの落葉樹林帯となり明るくなった。落葉が積もって腐葉土となった道はクッションのようですこぶる歩き易い。風も無く春の柔らかな陽射しに包まれた尾根道は素敵な散歩道だ。ウグイスがしきりに囀る。蛇がとぐろを捲くようにねじけたイヌシデがあった。かなり太いかずらにからまれたようだが、良く枯れなかったものだ。

NHKと山梨TVのパラボラアンテナのある御牧戸山に到着。目指す赤鞍ヶ岳のなだらかな姿も望める。幅の広い歩き易い道が続く。ツツビー、ツツビーとヤマガラが鳴いている。小さな登降を繰り返して長尾山を過ぎると果樹園のような雰囲気のクロモジ林が広がった。樹々の間から見上げる爽やかな青空に白い積雲が流れて行く。

この辺りから新しい倒木が増えてきた。緩やかに下って伐採地に出ると東側が大きく開けて大展望が広がった。矢平山、高柄山など眼下に見えるが、遠くの山は霞んでいて良く見えない。徐々に高度も上がり、残雪が増えてきた。ルート上にも固い雪が残っていて、時折ズボッと靴が潜る。少し雲が広がってきた。いつしか辺りはブナ林になった。中に幹がびっしょりと濡れたのがある。雪のせいだろうか?春だから水分を思い切り吸い上げているのだろうか?いかにも保水力の強いブナらしい姿である。辺り一面弾けた実が沢山落ちている。細茅ノ頭はいつのまにか通り過ぎたようで、道志村への分岐の標識があった。直径1m近いリョウブの大木あり。こんな大きなリョウブは珍しい。クマザサの斜面を登ると、ロボット雨量計のフェンスが現われた。この辺り鹿の臭いのような動物臭が漂っている。フェンスの脇を進むとすぐカラマツに囲まれて展望のない平坦なピークに到着。

標識はないが赤鞍ヶ岳だ。少し休んで元来た道を引き返す。20分程下って窪地で大休止。ここはブナやコナラに囲まれて風も当らず、日が射して暖かい。昼食の後は昼寝。撤収後は急いで下る。長尾山で小休止しただけで一気に御牧戸山も通り過ぎ、厳道峠を目指してアカマツ林の急斜面を駆け下る。あっという間に送電鉄塔に出た。まだ日は高いが富士山はもう雲の中だ。