秋の御座山(2112m)
 
日 時:2000年10月8日(日)
行 程:10/8 715坂上館―735,740 登山口−800,810 尾根上鉄塔−850,855 稜線−915見晴台-950,10001875m峰−1010山口坂の下−1050,1100 御座山−1130 山口坂の下−1140,1150 岩場の上−1205見晴台-1247 長者の森分岐−1315,1430登山口−1450坂上館

ルート断面図とルート図
 
御座山断面図 御座山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

中央道須玉ICから国道141号を北上し、清里・野辺山へと進んで行くと、右手に魁偉な天狗山・男山続いて目指す御座山(おぐらさん)が姿を現した。左手には八ヶ岳の峰々が大きく迫っている。坂上の集落で「坂上館」の看板を確認してそのままぶどう峠へと車を走らせる。この辺りから見上げる御座山はゴリラが仰向けに寝た横顔そっくりで、岩峰がゴリラのおでこと鼻そのものの形に見える。深田久弥の「わが愛する山々」の中でぶどう峠は「峠の品評会へ出せば金牌は請合いである」と激賞されている。40年前には、一面「眩しいような明るいカヤト」だったという信州側の急斜面は、ツタなどがからまって手入れの良くないカラマツの植林で覆われていて、昔日の面影はない。上州側には両神山と2月に登った二子山そして白く削られた叶山が見えていた。峠を下って民宿坂上館を訪ねる。

翌朝は薄曇り。白岩から細い山道へ入り、グングン高度を稼ぐと広場になった登山口に到着。標高1400mである。ここは切り開かれて、以前はなかったプールのような用水池が作ってあり、若干異和感を覚える。カラマツの林に付けられた真っ直ぐな歩き易い道をたどると、すぐ地図にない分岐があり[→御座山]の道標が右を差していたが、右の道は薮っぽく左の方が立派なのでそちらへ直進する。(これは大きな間違いだった)ジグザグの急登を一喘ぎすると尾根上の大鉄塔に出た。前回はこんな塔はなかったので最近出来たのかとも思ったがどうも道の方向がおかしい。右手のかすかな踏み跡を調べてみるとその先にいきなり立派な遊歩道のような丸太の階段があった。[御座山←→長者の森]という道標もある。最近出来た長者の森から登るルートのようだ。かなり左の方へ遠回りしてしまったことになるが、行けない事はなさそうだ。

時折、樹間から日が差してかなり暑い。カラマツの中にハウチワカエデやダケカンバ、ミズナラが混じり出し、少し黄葉したものもあるが、黄葉せず茶色に枯れた葉もある。本来のルートを右から合わせ、ホオノキ、ブナ、オオカメノキ、シロヤシオ、ミツバツツジ、シラカバ、リョウブなどの雑木林を行く。再びカラマツの植林となり、下生えはチシマザサに変わる。ハウチワカエデがわずかに紅葉している。左斜面を巻いていた道が稜線を乗越す所で一息入れる。すぐ横に太くて大きなカエデがあり、よく見るとウリハダカエデだった。樹皮にいつも見慣れた黒い線がなく違う木のようだが、上の方の枝を見ると間違いない。ウダイカンバ、ウリハダカエデ、ダケカンバ、ブナ、リョウブなどの落葉広葉樹林からコメツガやシラビソ、シャクナゲなどの常緑樹林に変わる。葉の長さが20cm程もある巨大なシャクナゲが沢山ある。隣に生えてる普通のと同じ種とは思えない位だ。北面が開けた見晴台に到着。らせん互生の小さな葉が真っ赤に色付いたベニサラサドウダンが鮮やかだ。花だけでなく葉も赤くなるらしい。

   ドウダンの 紅葉鮮やか 御座山

ブナなどの幹や露出した根にコケがびっしりと付いていて深山の雰囲気になり、苔むした木の根につかまっての急登が続く。倒木も増えて来た。相変わらずシャクナゲが多いが、高度が上がってようやく木々の色付きも増してくる。黄色のカラマツやウラジロナナカマド、朱色のオオカメノキ、紅いリョウブにミネカエデ等など。青空がバックならさぞ鮮やかだろう。雲が段々厚くなって日が差さなくなってきた。1875m峰辺りで一本立てる。そこから一寸進むと展望が開け、谷向こうの斜面は華やかに色付いている。岩峰を下ると山口坂への鞍部に到着。右は下新井、左は木次原への道が下っている。

ここから最後の急登が始まった。コメツガ、シラビソ、シャクナゲ、カラマツにベニサラサドウダン、ダケカンバ、リョウブ等が混じる。木の根登りに倒木越えが続く。間もなく傾斜が緩くなり壊れかけた作業小屋があった。小屋から数十mで切り立った岩峰に到着。ピークはそこから岩伝いに30m程だった。高曇りなので意外に遠望が利き、足元がスパッと切れ落ちた岩場の山頂からは八ヶ岳、甲斐駒、北岳、間の岳、鳳凰三山など南アルプス、目の前に天狗山、男山その左には金峰、国師など奥秩父。蓼科の右奥に北アルプスが大キレットから豆粒のような槍、鹿島槍、五竜、白馬まで。北面には6月に登った湯の丸山、奥に四阿山、その右は浅間山。東に両神山等々360度の大展望が楽しめる。白い雲が金峰の稜線を乗越して雪崩のように手前の斜面へと下って来る。

   雲の波 秩父の峰を 駆け下りる

写真だけ撮ってすぐに下り始める。山頂のすぐ脇には紅葉の盛りを過ぎたナナカマドとミネカエデが赤黒く少し縮んだ葉を付けている。登りでは苦労した倒木を軽々と越えながらどんどん下って行く。山口坂下のコルに着く頃には風が出て、ガスが上がり始めた。長者の森分岐から左に折れ、尾根を巻くように緩やかに下る。周囲はカラマツとミズナラが多くなった。下の駐車場の車が木の間越しに見え始める。ジグザグに下って行くと傾斜が緩くなり、背の高いクマザサが疎らに生えている。巨大な葉の木があり、ホオノキと思ったが葉柄が20cm以上あるのでトチノキだった。今朝、間違えた分岐に到着。道標を良く見るとやはり右へ行くべきだった。駐車場はすぐだった。用水池の脇で昼食にする。長さ40m幅8m位のプールのような用水池は、金網のフェンスで囲まれ緑色のゴムシートを張った上に水が貯めてある。帰りの中央道はブドウ狩りシーズンとも重なって勝沼から大渋滞だった。