新緑の湯の丸山(2101m)烏帽子岳(2065m)
 
日 時:2000年6月3日(土)〜4日(日)

【第1日】池の平から鹿沢温泉へ
行 程:1550 池の平駐車場−1610池の平−1630,1635池の平駐車場−1650 旧鹿沢温泉(紅葉館泊)

妙義山や浅間山は雲の中で見えないまま小諸IC到着。広域農道から地蔵峠へ向かう道へ右折し、急なつづれ折りをぐんぐん上って行く。あちこちの人家の庭先や道路脇にレンゲツツジが朱色に近いオレンジ色の大きな花を艶やかに咲かせている。地蔵峠を右折して池の平へ向かう。新緑が見事なカラマツ林の中、急坂をしばらく登ると池の平駐車場である。池の平湿原への散策道を辿る。ほとんどカラマツの森にシラカバやダケカンバが混じる。緩やかに下って行くと、樹林が切れて広い湿原が現われた。夕暮れ迫る高層湿原には一直線に木道が伸び、遠くは霞んでいる。風もなく全くの静寂。中々いい雰囲気である。湿原とはいってもほぼ乾いており、背の低いチシマザサが一面を覆っている。湿原が尽きる辺りにミネザクラが満開。シャクナゲは花芽も葉芽も固いままだ。ショウジョウバカマやコイワカガミが小さな花を付けていた。ぬかるみの道を少し登ると駐車場だ。地蔵峠まで下りて右折し、宿へ向かう。鹿沢温泉の紅葉館へ着いたのは17時前。宿の前に「雪山讃歌発祥の地」との看板が置いてある。西堀栄三郎がここで作ったらしい。




【第2日】湯の丸山へ登る
行 程:800紅葉館−810,815地蔵峠−915,925 鞍部−1015,1025 烏帽子岳−1100 鞍部−1138,1305 湯の丸山−1345,1355 つつじ平−1420地蔵峠

ルート断面図とルート図
 
湯の丸山断面図
 
湯の丸山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

翌朝、宿を出てすぐに地蔵峠到着。昨日とは打って変った青空にカラマツやシラカバの新緑が清々しい。ナナカマド、アズマシャクナゲ、トリカブト、ピンクのコイワカガミ、うす紫のハルリンドウなど目に付く。カッコウやカケスが鳴いている。程もなく林道が終わり、湯の丸キャンプ場に到着。カラマツの林に囲まれた広々として気持ちの良いキャンプ場にバンガローが点在する。正面右手に、その名の通り湯の丸山の丸い緩やかな峰が.真っ青な空を区切っている。ここからは山道となるが湯の丸山南面を巻く歩きやすい平らな道である。カラマツとシラカバの新緑の海に、ウグイスの囀りが快い。カラマツの幼木が多く、枝が低いので芽吹きを上から見ることが出来るが、こういう見方は初めてだ。枝の上面に数センチおきに短い針のような葉が可愛い塊で上向きに付いている。ミツバオウレンの白い花とコイワカガミのピンクの花が沢山。

白い大きな花が沢山ついた低木である。葉が丸くて大きく亀の甲羅のようなのでオオカメノキというらしい。別名ムシカリ。左手が開けて蓼科から北八ツ、硫黄岳方面が見えた。その左には富士山が霞んでいる。クマザサの原を右に緩やかにカーブを切ると烏帽子と湯の丸山の鞍部に出た。目の前に大きくそびえる烏帽子へ空身でピストンと決める。緩やかな道を進むとすぐ道脇にムラサキヤシオがピンクの花を咲かせている。ルートは左寄りにカーブして烏帽子岳の腹を大きく巻いて行く。左下の斜面は見事なカラマツの純林。独特の新緑が輝くばかりだ。岩にへばりつくように1cm位の薄いピンクの小さな花を付けたツガザクラがびっしり。シラカバやダケカンバの新緑も鮮やか。足元にはミネザクラの花びらが敷き詰められている。クマザサの中にショウジョウバカマ、コイワカガミなどが点在する。木がまばらになり烏帽子岳南東稜に出た。期待した北アルプスの大展望は残念ながら雲が邪魔して一部しか見えない。槍ヶ岳が一瞬顔を出した。2000mしかない稜線なのに森林限界を超えており、高木は全くない。

ミネヤナギ、ツガザクラ、コケモモ、コナシ、ミネズオウなどの高山植物が地面に張り付くように生えているが、ハイマツは一寸高度不足か見当たらない。緩やかな広い稜線をゆっくりたどり、ピークと思われる高みに着いたが、烏帽子はまだその先だった。この辺り、随分登山者が増えてきたが、道が広いので余り気にならない。一旦下って最後の岩混じりの斜面を登り返すと広々とした山頂である。上空は晴れているのに、北アルプス方面は強い北風に乗って次々に流れて来る雲にほとんど遮られている。

東方の浅間山が小さな噴煙を上げている。湯の丸山を左手に見ながら、高山植物のあふれる稜線を軽快に下る。カラマツの新緑とシラカバの白い樹皮が本当に鮮やかだ。30分程で鞍部に着き、ザックを回収してすぐに湯の丸山を目指す。烏帽子と違ってかなりの急登。クマザサの中にミネヤナギ、オオカメノキ、シラカバ、ダケカンバなどが目立つ。レンゲツツジも沢山あるがつぼみはまだ固い。マイヅルソウが白い花を付けている。 木がなくなって岩混じりとなり、ほぼコースタイム通りに湯の丸山に到着。ここも大勢の登山者が気にならないくらい広く、ケルンがたくさんある山頂で360度遮るものがない。東に噴煙の浅間山、北はすぐ目の前に四阿山が大きい。その右奥に志賀の横手山、左には妙高連山、南に蓼科山、北八ツ、美ヶ原、西には北アルプスが雲の間から断片的に見える。

昼食後、地蔵峠へ向かう。ミネザクラがほぼ満開。アサノハカエデ、オオカメノキ、シャクナゲ、シラカバ、カラマツ、ダケカンバ、ミネヤナギ、コイワカガミ、ミネズオウ、ミツバオウレン等の樹木や草花の間をのんびり下る。地蔵峠から湯の丸山ピストンは景色も良く、距離も短いので家族向けにぴったりのコースだ。傾斜が緩んで、鐘のあるつつじ平到着。傍らの岩の周りにミネズオウがびっしりと小さな星型の花を付けている。ここから少し下ると湯の丸スキー場の上に出た。椅子が外された短いリフトが掛かっているが、雪がない時のリフトは何となくうら寂しい。すぐ下に峠のホテルや駐車場が見える。キジムシロとヨモギの草原をてんでばらばらに好きなコースを駆け下りる。すっかり車で埋まった地蔵峠の駐車場ではM夫妻の愛犬シャガールが待っていた。