冬の二子山(1166m)
 
日 時:2000年2月27日(日)
行 程:2/27 810民宿登人(登山口)−845,850 1本目−930,940 股峠−1025,1035 西岳ピーク手前−1118,1125 1150m峰−1200,1210 稜線−1230,1400 コナラの林−1435林道−1445登人

ルート断面図とルート図
 
二子山断面図 二子山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

朝、車を民宿登人の前に残して出発。登山口は国道から右へ別れた林道に入るとすぐ左にある。−2度。快晴・無風の絶好の登山日和である。二子山の南面をたどるのだが、谷底の道なので日が当らずかなり寒い。仁平沢右岸のきちんと枝打ちされた杉の植林を進む。所々に防火用水と書いた赤いドラム缶が置いてある。ところでこの10数年来、日本で杉花粉が異常に増えたのは杉ばかり植えたからではなく、枝打ちや間伐をしない為に無秩序に枝を張って雄花が沢山出来るからだそうだ。林業の不振が花粉症の原因だということになる。対岸は葉を落した細い木ばかりの雑木林が続いている。ルートは所々崩れており沢身を辿る場所も多い。小さな滝がいくつか氷結している。緑が全く無く荒涼とした風景だ。サワグルミと思われるクヌギに似た木があった。樹皮は黒っぽく縦に浅く裂けている。時折、二子山の東岳、西岳の岩壁がのぞく。左岸に渡り急斜面を登る。この辺りから南の空に両神山が大きく姿を現し、迫力あるギザギザの稜線を左右に広げている。標高差が700m位あるので随分立派に見える。ようやく斜度が落ちて股峠到着。わずかに雪が残っている。日が差さないので立ち止まると寒い。

ここからはいよいよ核心部、西岳の岩稜帯である。稜線の直登は避け、右へ回り込んで北面を巻くように登る。最初は岩壁の下を巻くだけなのでどんどん歩けたが、西岳ピーク直下でクラック状の岩場らしい所があり。補助ザイルで確保する。カラビナを持つと岩に情熱を燃やした若い頃が鮮やかに蘇って気分が良い。岩の間から西岳ピークの一角に飛び出すと風景は一変し、360度の大パノラマが広がった。南には両神山が一段と大きく、その左には雲取、飛龍が、さらに左奥には武甲山。北面には御荷鉾山が東西の峰を並べており、その左には赤久縄山のだらっとした稜線が連なっている。東には二子山東岳南壁が切れ落ちている。特に目を引くのは西方眼下に山頂部分を削られて石灰岩の真っ白い肌を曝している叶山の無残な姿だ。ここから先は稜線沿いに下るのだが、ナイフリッジの連続のようで中々手強そうだ。はるか前方の1150mピーク付近を単独の人が進んでいるがかなり苦戦している。左右が切れ落ちた稜線を慎重に下り始める。スタート直後に大きな岩を右に巻きながら下るキレット状の場所があり、ここはかなりやばかった。

岩場が続くのでほとんど木はないが、イヌシデ、リョウブ、ウリハダカエデ、ミズナラなどが点在する。いづれも背は低く細い。ホールドスタンスは豊富で岩もしっかりしており、逆層部分はないし、フリクションも利くので3点確保を守れば危険ではないのだが、こわがって岩にへばりつくと危ない場所は多く、下りでも2ヶ所でザイルを張ることになった。身体が振られるポイントもあり、結構緊張するし、岩登りの感触を思い出させてくれる楽しい岩稜歩きだった。しかし、若い頃なら問題にしなかったような場所でえらくもたもたしたのは、体力もバランス感覚も落ちた証拠だ。岩稜帯西端のほぼ垂直の10m程のクーロアールに鎖がつけてあった。鎖場はここ一ヶ所のみ。慎重に下って終了。あとは急だが普通の山道を下るだけ。鎖場のすぐ下に直径1m位の巨木が2本あり。樹皮はどう見てもコナラだが、コナラがこんなに大きくなるのだろうか?しばらくしてコナラの純林の中におあつらえ向きの広場があり、シートを広げて昼食にする。杉林の尾根道をしばらく下ると分岐に「志賀坂峠」との道標あり。迷った挙句、直進する。間もなく又分岐があり、坂本へ下る左の道を取る。杉林が切れて送電鉄塔があり展望が開けた。正面には両神山が広がり、振返ると西岳の岩壁がそそり立っている。ここからは傾斜も緩いのでどんどん飛ばす。間もなく国道に降り立った。更に10分程で宿に到着。一休みしてM車を見送り、帰路に着く。岩登り気分も味わえて手応えのあるいい山だった。