新緑のトンネル今倉山(1470m)〜二十六夜山(1287m)
 
日 時:1999年5月23日(日)
天 気:晴 気温高く(東京の最高気温28度)風弱し、湿度は低い 霞んで展望きかず
行 程: 915都留市−935,950 道坂トンネル−1040,45カヤトの原−1110,1122今倉山−1208,1318 松山―1430,1440二十六夜山−1513,1520 露岩−1550,1555 矢多沢−1630上戸沢−1635赤坂

ルート断面図とルート図
 
二十六夜山断面図 二十六夜山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

登山口の道坂トンネルでタクシーを降りると車が5〜6台止っている。前回の3月は雨後雪。ガスって何も見えず非常に寒かったが、今日は暑いくらいだ。20名近い団体が出発の準備をしている。団体と一緒は嫌なのでゆっくり支度をして時間調整する。前回は今倉山から東に折れて菜畑山を目指したが、今回は今倉山から西の二十六夜山へ向かう計画だ。ヒノキの苗木が植えられた斜面を歩き始めてすぐ、右側が崖になった場所を通過。縦に深く裂けた樹皮の落葉樹が沢山あるので気になり、図鑑で確認。隣の木と重なり合っているので幹と上の方の葉が中々一致しない。まあ、多分ハルニレだろうということに衆議一決。早くも樹木探求の山旅が始まる。

鳥が盛んに囀っている。Hさんが「あれがホトトギスだよ」と教えてくれる。「トウキョウトッキョキョカキョク」と鳴いているのかな?新緑のトンネルの中を急登して行くと15分ほどで稜線に到着。涼風が心地よい。気温は夏山みたいで汗びっしょりになるが、湿度が低くすぐ乾いてしのぎやすい。今倉山南面の尾根をほとんど直線的に登っていく。尾根の東側はほとんどミズナラで、ウリカエデ・ウリハダカエデ・ハウチワカエデ・イヌシデ・リョウブ・ブナ・コナラ・ウダイカンバなども点在。西面はカラマツの植林。コナラとミズナラは樹皮で区別しにくい場合があるが、葉柄の有無が簡単な判別ポイントになる。コナラは1cm程の葉柄があるが、ミズナラには葉柄がない。

緑のトンネルに明るい陽射しが差して青空に映える。黄色いキジムシロや薄紫のタチツボスミレがセットで咲いている。ヤマブキもあったが盛りを過ぎて白っぽい。カヤトの原で一服。南西方向に御正体山、鹿留山が霞んでいる。ずっと右には三つ峠も見える。富士山は霞の彼方だ。汗をかいているせいかブヨがうるさい。熊笹をかき分け、辺りにブナが増えて来たと思ったら今倉山だ。付近はほとんどブナばかり。苔で覆われ風格のあるブナの横に立ち、前回と同じポーズで写真を撮る。例の団体は菜畑山へ向けて出発して行った。

ここから彼等とは反対に左へ折れて主稜線を西へたどる。ゆるやかな下りが続く。新緑のトンネルの中に朱色のトウゴクミツバツツジが点在している。オシベが10本あり、メシベの下半分に細かい毛が付いているのが特徴だ。枯れたシロバナエンレイソウがある。キジムシロやタチツボスミレの群落も多い。かなり急な下りが続いた後、少し登り返したら松山だった。誰もいない展望の良い小ピークである。御正体山、鹿留山から三つ峠、更に奥秩父方面の山が霞んで見える。ここで大休止。初夏のピークで真昼の太陽が照り付ける中、ビールで乾杯。驚くほど冷えている。

やや控えめにエゾハルゼミが鳴く。ミズナラの幼木がピークを囲んでいる。彼等が大きく成るのはいつのことだろう。トウゴクミツバツツジも咲いている。靴も靴下も脱いで裸足でくつろぐ。陽射しは暑いが風が快い。名残惜しいけれど腰を上げ歩き始める。稜線沿いに何度か登降を繰り返すと左下に林道が見え、しばらく行くと鞍部でその林道終点とぶつかった。ここから少しの上りで二十六夜山に到着。二十六夜の石碑が立っている。旧暦1月と7月の三日月の夜に女衆だけが夜を明かす行事が行われたそうである。何だかおどろおどろしい。二股の道を右へたどり戸沢方面への急な下りにかかる。ウラジロモミの植林にアカマツ、イヌシデ、ホオノキ、コナラ、ヤマモミジなどが混じる。尾根筋から右にそれ、ジグザグを繰り返してどんどん下って行く。杉の植林帯に入ると右下から矢多沢の水音が聞こえてくる。沢床で一服し、冷たい水で喉を潤す。実にうまい。間もなく舗装された林道にぶつかった。