新雪の今倉山(1470m)〜菜畑山(1283m)
 
日 時:1999年3月20日
天 気:雨のち雪。昨日までの高温が一気に下がり(東京の最高気温9度)    3月下旬にしては寒く、弱い北風。雪は2〜7cm(段々増えた)
行 程:920都留市−945,950道坂トンネル−1035,451310m峰−1108,1118今倉山−1210,1220水喰の頭−1254,1345菜畑山−1505,1620曙橋−1700,1705月夜野−1745藤野駅

ルート断面図とルート図
 
今倉山菜畑山断面図
 
今倉山菜畑山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

雨の中、電車を都留市駅で降りるとすぐタクシーの運転手が「Hさんですか」と寄って来た。早速荷物を積み込み、登山口の道坂(どうさか)トンネルへ向かう。予報ではくもりのち雨のはずだったのに、朝から雨になってしまった。この所不順な天候が続いており、週末はほとんだ雨だ。晴れ男が揃っているので、何とか降らずにもってくれないかと期待したが、今回は駄目だった。予定より少し早く道坂トンネル入り口に着いた。雨は小降りで大した事はない。傘でもいいかと思ったが、渋々ゴアの上着を着る。歩き始めから雨具上下というのはうっとうしい。ヒノキの苗木が植えられた斜面を歩き出す。背の低い熊笹の中、すぐ急登になり15分ほどで稜線に出た。この頃には雨に雪が混じり出し、間もなく完全に雪になった。登山道や熊笹が白く染まり始める。湿った雪だが雨よりはるかにいい。今倉山から南に伸びる尾根を一直線に登っていく。

尾根の東側はほとんどミズナラで、イヌシデ・リョウブ・ブナ・コナラ・ウダイカンバなども点在する。所々ミズナラばかりの林もあった。西面はカラマツなどの植林が続いている。カヤトの原を越えると1310m峰である。この辺りは天気が良ければ御正体や富士山、南アルプスが見えるはずだが、ガスで展望はゼロ。せめてもの慰めは雨が雪に変ってどんどん積もっていく様を見られることだ。雪が本格的に降る中を歩くのは随分久し振りだ。ちょっぴり冬山気分が味わえていいものである。但し、高度が低く、気温も高いし風も無いので迫力はない。雪の量が増えるに従い、ズボンの泥が取れてきれいになってくる。

熊笹をかき分け、辺りにブナが増えて来たと思ったら今倉山に着いた。山頂付近はほとんだブナばかりだ。中に直径1m近く、樹皮が苔で覆われ風格のある主のような大木が2本あった。羊羹などを補給し、主稜線を東へたどる。気温がかなり下がってくる。この主稜線はブナが主役でウリハダカエデ・シャラ・リョウブ・イヌシデ・コナラ・ミズナラなどが目に付く。茶色に枯れた葉を付けたままのオオバクロモジもあった。100m位高度を下げ、いくつかの小さなピークを越えると50分程で水喰の頭に到着。木の陰でチョコレートなど口に入れてすぐ出発。

小さな登降を繰り返していると、意外とあっけなく四阿が見えた。菜畑山だ。ここの四阿はコンクリートの柱1本に屋根が付いているだけの簡単な構造で大きな傘のようである。下の方に小さなテーブル状に出っ張りがあり、周囲にこれもコンクリートの4個の丸椅子がある。ともかくザックを開け宴会の準備を始める。小さな屋根だが立派な雪よけになってくれておりありがたい。先客がいなくて良かった。まずは水割りで乾杯。Hさんがコンロで焼いてくれたベーコンが絶品である。少し腹ごしらえをして改めて周囲を見渡す。ブナ、ミズナラ、コナラなどの若木がびっしりと周りを取り囲んでおり、それらの木々の枝と言う枝が樹氷をまとって銀色に輝いている。晴れていればもっときれいだろうが、これでも十分美しい。何本かの樹上に巣箱が取り付けてある。こんな自然林に巣箱が必要なのだろうか?

南側は少し開けていて丹沢方面の展望が素晴らしいそうだが今は何も見えない。静寂の中、コンロの音だけが響いている。寒いので早めに腰を上げる。いつの間にか積雪は5cm位になっている。山頂から少し戻って、南斜面を急降下して行く。雪がクッションになるのでどんどん飛ばす。一寸スリップして尻餅をついたのを幸い、そのまま尻セードしてみる。あっと言う間に50m位滑り下りた。快適。何度か繰り返していたら舗装してある林道に着いてしまった。TV中継塔がある。アスファルトに薄く積もった雪の上をゆっくり下る。降りしきる雪の中、曙橋のバス停に着いたのは予定よりかなり早く3時過ぎだった。結局、今回は誰とも遭わず山を我々だけで独占出来た。悪天に感謝。静かないい山だったが、難点はアプローチが悪く、帰りのバス待ちが長く寒くて参ったことだ。この山域は初めてだったが、車を使ってピストンするようなコース取りをした方が良さそうである。