雪深き大沢山(1450m)
 
日 時:1999年2月13日
天 気:快晴気温猛烈に低く、強い北西風。雪は下部10cm上部70cm
行 程:930笹子−1000稲村神社−1040,1050 稜線上−1130,11402本目(1069峰の先)−1320,1430大沢山−1505,1510大鉄塔の上−1525,1535大鉄塔−1610小鉄塔−1615稲村神社−1650笹子駅

ルート断面図とルート図
大沢山断面図 大沢山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

この冬一番の寒気団が来ており、猛烈に気温が低く強い北風が肌を刺す。甲州街道の歩道の雪が凍って滑る。車道は乾いている。笹子で同じ電車を降りた10人程が前を行く。彼らは追分で直進して行った。笹子雁ヶ腹摺へ行くのだろう。30分で稲村神社到着。大沢山への登り口は10cm程の雪が積もった社殿と地蔵堂の間である。境内にトレースはなく、今日は誰もいないはずだ。杉林に入るといきなり急登である。すぐ尾根筋の道となる。稜線上は風当たりが強く体感温度は−5度以下。いつもなら山シャツ1枚になる所だが、今日はフリースもジャケットも着たままだ。

襟を立て、毛糸の帽子を首筋まで引っ張る。ハンガリーの手袋を着けても指が冷たいなんて久し振りである。送電線を越え、杉やアカマツ、カラマツなどの植林帯を抜けると雪が深くなる。ミズナラが多い中、樹皮が緑色のウリカエデを初めて同定。良く似たウリハダカエデもある。他にクヌギ、シャラ、リョウブ、ウダイカンバ、シラカバ、ツガなど。以前から不明だった樹皮に細かい縦の割れ目のある木がここにも多い。図鑑を良く見た結果ほぼ「イヌシデ」だろうとの結論を得た。

延々と尾根が続く。下りが全くなく効率は非常にいいが、登りばかりできつい。左手に新年に行った本社ガ丸の稜線が見える。女性2人のパーィーに追いつく。ゆっくり登っているのに何故追いついたのか不思議だ。それに神社にトレースは無かったし。?? こちらが1本立てた間にどんどん行ってしまった。2本目の送電線を越えてから益々雪が深くなった。急登になった所で軽アイゼンを付ける。新雪なのでダンゴにならない。

風はいつのまにか収まっている。清八山の電波塔が水平より少し高い位になった頃今度は単独の女性に追着き、追越す。今日我々以外に二組もこのルートにいるとは予想外だ。膝まで潜るようになる。先行した二人組のトレースがしっかりしているので助かるが、我々だけだったらラッセルが大変になるところだった。高度が上がりブナが多くなった頃ようやく斜度が落ちてピークに着いた。予定より1時間遅れである。山頂はブナやミズナラに囲まれた小さな広場で「大沢山1450m」という粗末な看板が木にくくり付けられている。三角点はない。葉を落とした木々の間から南に富士山や本社ヶ丸、北に黒岳、笹子雁ヶ腹摺山、滝子山が紺碧の空に浮かんでいる。

ところで先客二人のはずが一人しかいない。どうやら、二人バラバラになり後ろの一人を我々が追い抜いたらしい。しばらくしてもう一人も到着。60歳位の感じだがアイゼンも付けずに新雪をクリアした所など、雪にかなり慣れているらしい。林道をかなり奥まで行ってから尾根へ直上したそうで、我々が突然追着いたのはそのせいだとわかった。

ともかく風当りの弱い所を選んでシートを広げ、アイゼンを外してへたり込む。いつもの日だまり山行と違いかなり寒い。シートを通して雪の冷たさがしみる。それでも1時間強の宴を楽しんでピークを後にする。女性二人組は少し前に下って行った。雪が多いので下りは早い。上り3時間20分の所を1時間45分で稲村神社到着。笹子駅に着いたのは5時前で前回より15分早いだけだが、陽が延びて随分明るかった。