秋の甘利山(1672m)から千頭星山(2138m)
 
日 時:1999年10月9日(土)
行 程:645広河原−705甘利山−820,835奥甘利山の先−848大西峰−925,1055千頭星山−1112大西峰−1150,1200奥甘利山の下−1225甘利山−1235,1300広河原

ルート断面図とルート図
甘利山断面図 甘利山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

100台くらい置けそうな甘利山駐車場を後に、グリーンロッジの脇のゆるやかな登山道を歩き始める。並んで歩ける立派な道の両側には植物保護の為のロープが張ってある。天気は快晴。先週の大蔵高丸と同じように気温が高く、風も無い。駐車場の標高は1600m位だから甘利山まではわずかな登りだ。全く色付いていないミズナラ、シラカバ、カラマツやクマザサの間を「山頂まであと○○m」という標識に導かれてあっという間に到着。ピークらしくないだだっ広い草原の中に甘利山の大きな看板がある。リンドウ、タカネマツムシソウなど標高の割に高山植物が多い。夏に来たら百花繚乱だろう。年配の人が三脚を立ててカメラを構えている。レンズを東に向けているが富士山が見えるのを待っているのだろうか。気持ちの良い高原状の草原がゆるやかに波打って続く。南の空に櫛形山の特徴的な稜線が霞んで見える。又ひとり年配者がカメラを構えていた。(この後千頭星山まで誰にも遇わなかった)

やや急登になり、タカネナデシコ、アザミなどが点々と咲いている。何度か上り下りを繰り返し、甘利山から1時間以上歩いているのに奥甘利山に着かないのでおかしいなと思いながら1本立てる。この辺りコハウチワカエデが多く、足元にはコバイケイソウもある。正面の奥甘利山と思われる山の斜面を覆うカラマツが少し黄色っぽく色付いている。暑いとはいえ秋の雰囲気である。少し曇ってきた。休んでいると一寸寒い。シラビソが多くなり、緑のままのナナカマドやオオヤマザクラが混じる。暗いシラビソの樹林の中、木の根をつかみながら10分程の急登をこなすと傾斜が緩やかになり大西峰に着いてしまった。

ということはずっと前に奥甘利山は通過したことになる。大西峰と書いて「おおにしうら」と読む。ここから右への道をたどると御所山から青木鉱泉へ向かうのだが、最近は歩く人も少なくかなり荒れているようだ。我々は左に折れ、千頭星山へ向かう。斜度は落ちて来たのでのんびり歩く。空はすっかり雲に覆われ、ガスが懸かってきた。展望はないが、見事なクマザサがびっしりと密生している中にカラマツ、シラビソ、コメツガ、ダケカンバの疎林が続き、きれいな公園のようだ。カラマツには藻のようなサルオガセがぶら下がっている。

進むに連れ、益々ガスが濃くなり幻想的な雰囲気である。足元にはオヤマリンドウ、タカネマツムシソウが鮮やかだ。一瞬ガスが切れ青空が覗いたと思ったら千頭星山のピークだった。この山頂はカラマツに覆われて全く展望はない。少し先へ下ってクマザサが広がっている開けた場所へ腰を落ち着ける。時々、雲が切れて青空が顔を覗かせるが周囲の山は全然見えない。鳳凰三山くらい見えると期待していたが駄目だった。しかし、柔らかい陽射しと秋風が心地よい。山頂へ引き返すと、夫婦二人のパーティーが出発する所だった。一応、千頭星山の看板をバックに写真を撮り、我々も下山にかかる。少し雲が切れて薄日が差すが展望は利かない。大西峰への下りで何組かのパーティーとすれ違う。葉が小さなハート型のヒュウガミズキや大きく丸い葉のツノハシバミがある。大西峰から30分程下ると左手に登る細い道があった。道の先は小高いピークになっているようだ。どうやら上りで気付かなかった奥甘利山らしい。その分岐から40分程で甘利山の草原である。正面眼下に甲府盆地が霞んでいる。静かでのどかな風景だ。そこから駐車場まではわずかだった。