初秋の大蔵高丸(1781m)〜大谷ヶ丸(1643m)
 
日 時:1999年10月2日(土)〜3日(日)

【第1日】竜門峡遊歩道からさいぐさ荘
行 程:1355甲斐大和―1455,1505竜門峡遊歩道入口―1600さいぐさ荘

ルート断面図
竜門峡遊歩道断面図
カシミール3Dにて作成しています

昼過ぎに甲斐大和(「初鹿野」という立派な駅名を何故変えるのだろう)に到着し、駅前の大きな案内図を見て日川渓谷沿いの「竜門峡遊歩道」を歩くことに決定。のんびり歩き出す。10月というのにかなり暑い。田野、武田古戦場跡、武田一族を奉った景徳院などを過ぎ、アスファルト道を外れて橋を渡る。日川右岸の竜門峡遊歩道に入ると、取付きからやけに急である。遊歩道らしくクマシデ、ヤマボウシ、アカシデ、ケヤキなどに名札が付けてある。トチノキやコナラもある。しばらく行くと平らになり、沢側にそれらしい柵が付けられていかにも遊歩道の雰囲気になる。

日川の水量は多く、豪快な滑滝が次々に現れる。堰堤をいくつか越えると発電所施設があり、ここから山道となった。手摺はなくなり、かなりの急登が続く。しかし、遊歩道とはいうものの全く人が歩いておらず、最後まで誰にも遭わなかった。人が入っていないお陰で栗拾いまで出来たのだから感謝しよう。「山栗は粒は小さいけど甘いんだよ」とK氏が靴先で毬を割って実を採り始めたので、皆真似をする。大の男が5人揃って栗拾いである。とにかく大量に落ちていて、いくら拾ってもきりがない。(帰宅してから茹でて食べたが、小さいけどかなり甘くてうまかった)左岸の急な高巻き道をふーふー言いながら何とか登り切ると、ようやく遊歩道が終わって宿の「さいぐさ荘」に到着。駅からたっぷり2時間、400mの登りで汗びっしょり。十分すぎる準備運動だった。




【第2日】湯の沢峠〜大蔵高丸〜景徳院
行 程:745さいぐさ荘−820,825湯の沢峠―900,916大蔵高丸―950,955ハマイバ丸―1026,1035 天下石―1117,1130大谷ヶ丸―1215,1320 コンドウ丸付近―1428,1435 大鹿山の下―1503,1510 景徳院―1540,1559 甲斐大和

ルート断面図とルート図
大蔵高丸断面図 大蔵高丸ルート図
カシミール3Dにて作成しています

翌朝、宿で頼んでもらった車に乗り込み、焼山沢林道を湯の沢峠へ向かう。天気は曇りだが、時々薄日が差して期待を持たせる。林道終点からは舗装が切れ、猛烈な凸凹道となる。乗用車ではかなり厳しそうだ。4WDのワゴン車は大きく揺れながらぐんぐん高度を上げて行く。600mを登り切ってようやく湯の沢峠に到着。避難小屋あり。標高1652mの峠はさすがに涼しいが、10月にしては気温が高く風もないので、皆Tシャツで歩き出す。昨日たっぷり準備運動をしたせいか足が軽い。少し登ると高原状の大草原が広がった。

すぐ目の前に大蔵高丸が丸く盛上がっている。盛りを過ぎてはいるがトリカブト、タカネマツムシソウ、ミネウスユキソウなどがカヤトの原に咲いている。夏のこの辺りは見事なお花畑だろう。少し下った後、クマザサの間をゆるやかに上って行く。ハウチワカエデやダケカンバの疎林にコバイケイソウ、タカネニガナ、ハクサンフウロ、キリンソウなどが点在している。若干の急登が終わると視界が開け、大蔵高丸の広い山頂だった。360度の大展望である。丁度うまい具合に晴れて、南面の空に笠雲をかぶった富士山も見える。三ツ峠、本社ヶ丸、御坂黒岳が並ぶ。北には黒岳、雁ヶ腹摺山。今日はここが最高点で後は南に向う稜線をゆっくりと下って行く。

歩き始めてからずっと紅葉は全くといって良い程ない。日当りの良い場所のハウチワカエデが1本だけ、それも上の方のほんの一部が赤くなっていた。きれいなアザミが咲いている。ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、ヤマモミジなどにダケカンバの巨木が混じる。紅葉の時期はさぞきれいだろう。ハマイバ(破魔射場)丸に着く頃にはガスって来た。ガレを下るとミズナラとクマザサの林となる。ヤマブドウが実を付けている。ススキの原を越え、巻き気味に登ると天下石に着いた。この辺りもそうだが、朝からずっと歩き易い道が続いている。トリカブトの大群落あり。少し下ると米背負峠である。

右手の林の中に妙なものを見つけた。枯れ木に大きな白いきのこがびっしりと生えている。きのこに詳しいK氏によればスギタケだそうだ。珍しいので皆で並んで記念撮影する。この辺りからバフンシメジなど色んなきのこが次々に出てきた。峠からわずかな急登でカラマツやミズナラの樹林に囲まれた大谷ヶ丸到着。平らな山頂はすっかりガスの中。すぐ南にあるはずの滝子山も全く見えない。以前登った滝子山からはカラマツに覆われた大谷ヶ丸が良く見えたのだが。人が少ない山らしく、山道にクモの巣が張っていて先頭のHさんがしきりにストックを振り回している。ウリハダカエデ、リョウブ、ヤマボウシなどが目に付く。コンドウ丸付近のカラマツ林の中に開けた場所を見つけてシートを広げ大休止とする。

ビールで乾杯。クーラーバッグの効果抜群で良く冷えている。幸い雨も降らず、ゆっくり宴を楽しむ。曇っていて展望も無いが、山を独占出来てなんとも贅沢な気分だ。ほろ酔い加減で腰を上げ、のんびり歩き出す。少し下ると曲沢峠。ここからの曲沢の下山道は荒れているので大鹿山方面へ直進する。大鹿山ピークの手前で右に折れ、尾根沿いに下る道をたどる。西から北方向の展望が開け、八ヶ岳や金峰山が見える。八ヶ岳の左には甲斐駒ものぞいている。トチノキ、カラマツ、ダンコウバイなどの中をどんどん下る。更に下り、舗装路に飛び出すとすぐ景徳院だった。昨日歩いたアスファルト道を甲斐大和へ向ってたどり始めると雨が落ちて来た。