初秋の富浦/原岡海岸

日  時:2002年9月15日(日)〜16日(月)
天  気:9/15 くもり、気温低く風弱し/9/16 くもりのち雨、気温低く風弱し
行  程:9/15 1000富浦(原岡海岸)大房岬往復、法華岬付近往復(幕営)
9/16 700起床―南無谷岬沖往復―1225原岡海岸―1230道の駅とみうら―1300南無谷海岸
漕行距離:約16km
漕行時間:約4時間

【1日目】
初めてF・T両氏が佐倉の我が家まで来てくれたからすごく助かった。イプサムに荷物を満載して、国道51号から16号、127号と渋滞もなく順調に飛ばし、保田の辺りで小さな魚屋を冷やかして、10時に《��原岡海岸》の標識を右折して狭い道を抜け、浜辺に到着。富浦は房総半島の南端に近い内房の浜辺の町で、原岡の他に豊岡、南無谷などの浜がある。少し沖に出ると東京湾とは思えないほど透明度が高く、砂浜もきれいでキャンプに適しているので何度も来ている。

ところでどこまでが東京湾なのだろうと思って調べたら、三浦半島の観音崎と富津岬を結ぶ線が湾口で、そこから三浦半島の剣崎と洲崎を結ぶ線までが浦賀水道ということだった。しかし海上保安庁のページでは《東京湾浦賀水道》と表記があり、浦賀水道が東京湾に含まれるようにも解釈出来るし、分りにくい。地図で見ると、富浦は浦賀水道であることは間違いないが、房総半島の先端に近いから東京湾内というのはどうも無理がある。ここでは東京湾の外側ということにしておこう。真夏には大勢の海水浴客で賑わう浜辺も9月ともなればひっそりと静まり、涼しくて秋の気配が濃い。予報では曇りときどき雨ということだが、何とかもって欲しい。

浜沿いの狭い道路脇の砂浜にテントを設営し、ロールパンなどで軽く腹ごしらえをして、11時半に漕ぎ出す。釣り舟の間を縫って、先ずは入り江の南側の大房岬を目指す。銀色に輝く小さな魚の群れが水面すれすれにジャンプしている。5cm位の飛魚の稚魚だ。

飛魚が 群れなし跳べり 秋の海

波に乗る 富浦の海 心地良く

シーカヤック2艇とすれ違う。ジェットスキーの女性もいる。曇り空だから水のきらめきがないのが残念だが、いつもの検見川浜とは全く違って透明度抜群の大海原を漕ぐのは気分最高である。2km程漕いで、12時大房岬の小さな砂浜に上陸。ビールで乾杯。枯れたガクアジサイの傍らに橙色のオニユリが咲いている。少し泳いで見るが、水は冷たくない。沖を2艘のシーカヤックが軽やかに北へ向かって行った。帰りは後ろから波に押されて結構速い。

富浦海岸 富浦海岸 富浦海岸 富浦海岸
 
13時頃一旦帰着。ちゃんと鰹節でだしを採った豚肉入り力うどんとビールの昼食後、14時半に再び漕ぎ出し、北側の岬の方へ行く。岬から数十m離れて二つの大きな岩があり、数人の釣り人が糸を垂れている。その近くの浜辺にはコールマンのテントとタープを張った一団がいて、大音量でダンス音楽を垂れ流している。100m以上離れているのに《ズンズン》低音が響きわたって耳障りなことこの上ない。1kmほど離れた原岡海岸まで《ズンズン》が追い掛けてくる。浜には誰も居らず、テントはもちろん我々の一張りだけ。時折、犬の散歩をさせる人が通る位で静かなものだ。

夕食の準備に掛かる。今夜のメニューは豚汁だ。ここは炊事場がなく、トイレの水道で芋や野菜を洗って切る。覚束ない手付きながら無事完了。後は鍋に放り込んで煮るだけ。待つ間に石の上にイカとエビを刺した串を並べて、炭の代わりに流木を燃やしたバーベキューが何とか成功して日本酒で乾杯。炭火焼とまではいかないが、程よく焼けている。すっきりした辛口の酒がイカとエビに合う。そろそろ豚汁が煮えたみたいだ。シートに座りなおして具沢山の汁を抱え込む。いつの間にか《ズンズン》は聞こえなくなっており、鈴虫の鳴き声と潮騒だけが心地よく響く。彼等は帰ってしまったのかな?対岸の街の灯が瞬き始めた。三浦海岸だろう。

潮騒が 浜辺のテントに こだまする

今は暑くも寒くもなく、静かな浜辺を独占出来て極楽である。20時には寝てしまったが、0時半頃暑くて目が覚めた。シュラフから出てシュラフカバーだけにする。

【2日目】
翌朝、テントの前に広げたシートでバターロールパンとエビ入りゆで卵入り野菜サラダを食べていたら、軽自動車が横に停まっておばさんが降りて来た。年の頃は60歳前後。田舎くさくはなくて、都会的な感じの女性だ。聞きもしないのにいきなり馴れ馴れしく説明を始めた。「あの岩は亀の甲岩。亀が左を向いているように見えるでしょ。あの岬は法華岬といって日蓮上人が嵐を治めたそう。袈裟掛けの松があったそうよ」「ここからは晴れるとあの方角に富士山が良く見えるのよ」

「夏はこの場所もキャンプ場代を集めているのよ。一人500円。管理人がしつこくてあれじゃ富浦のイメージ悪くするわよ」T氏のバンダナを目敏く見つけて「あら、その紫のバンダナ素敵ね。良くお似合いよ」「私ね、ゴルフを始めたのよ ・ ・ ・」いつまでも早口でぺらぺら止まらず、皆辟易しながらも適当に相槌を打つ。《地元を愛する親切押売り熱血おばさん》といった所か。こちらも急ぐ旅ではないし、悪気もないので別に嫌な感じはしなかったが。

富浦海岸 富浦海岸 富浦海岸
 
食事を終えて8時40分出発。雲の切れ目からわずかに青空が見えて期待したが、すぐに厚い雲で塞がれてしまった。昨日はくっきり見えていた水平線が今日は霞んでいる。《ズンズン》のテントはもうなかったから、彼等は昨日夕方引き上げたらしい。教えてもらったばかりの法華岬を越えて南無谷岬の方へ行ったら、岬の先端近くにきれいな砂浜があったので上陸して休憩する。ここまで原岡海岸から40分。大房岬と違って歩いては来られない所で、秘密めいた無人島のような雰囲気が気に入ったが、上陸してみると岩影にゴミが大量に隠れていて、折角のきれいな浜が台無しである。

ところで、おばさんの話にもあったが、房総半島には日蓮にちなむ場所が多い。法華岬も南無谷岬もそうである。岬から少し沖へ出たら外海のように波が大きくなって迫力があった。しかし、南無谷岬と大房岬の間は3km近くあり、防波堤があるわけでもないのに、両岬を結ぶ線の内と外では波の高さが2倍位違う。不思議なものである。

大波に 煽られ揺れる カヌーかな

もっともスターンズは安定しているので、上下に大きく揺れるものの緊張することもなく面白かった。岩井海岸の町が見える辺りで引き返す。岬を回りこんだ途端にうそのように波が収まった。10時40分に帰着。2日で4時間漕いで結構疲れた。カヌーとテントを撤収。雨がぱらついて来たので急いでもち・ゆで卵入り豚汁の昼食を済ませて出発。道の駅とみうらに寄って、芝生の上で名物の《びわソフトクリーム》を食べる。今回地元に貢献したのはこのソフトクリーム代350円だけだった。

《親切おばさん》推薦の南無谷海岸に寄ってみたが、やはりキャンプには不向きだった。四阿(あずまや)の近くに、葉が巨大で見たことのない総状の白い花が咲いている。帰宅して図鑑を見たらハマオモト(別名ハマユウ)とあった。

そよ風に 浜木綿揺れる 秋の浜

13時頃出発。すぐに雨は本降りになり、浜金谷の辺りで土砂降りになった。