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日 時:2000年8月5日(土)〜6日(日) 天 気:8/5 くもりのち雷雨のち晴れ。気温低く風弱し。8/6 快晴のち晴れ、気温高く風弱し。 行 程:8/5 磐梯高原IC−1300秋元湖キャンプ場 8/6 1150秋元湖キャンプ場−磐梯高原IC 漕行距離:約15km 漕行時間:約3.5時間 5年前に吾妻連峰に登った時、曇り空ではあったが、東吾妻の山頂から南西遥か彼方に裏磐梯三湖【注1】が小さく見えた。当時はカヌーを始めたばかり。いつかはあんな山間の静かな湖面に漕ぎ出してみたいと思ったが、仲間もおらず実現の目処はなかった。それ以来、一度は来てみたいと思っていた秋元湖のツーリングがようやく実現した。これまで湖は人造湖の丹沢湖と亀山湖しか知らないので自然の湖は初めてである。 【1日目】 K氏が寝坊したので予定より1時間遅れの7時少し前にF氏宅を出発。やはり首都高も東北道もかなりの渋滞になったが、磐越自動車道は快調に飛ばし、何とか1時に秋元湖キャンプ場【注2】に到着。早速テントを張り、ポツポツ降り出した雨の中でビールで乾杯し、二人前づつのラーメンを食べる。雷も遠くで鳴っているがキャンプ場の管理人のおじさんが「この雨はすぐ上がるよ」と言うので「じゃあ行ってみよう」と3時に漕ぎ出した。F氏はいつものダンサー(ポリ艇)。K氏はゴム艇。舳先が上へ反り返っており、着座位置が後ろなので、前部が水面から浮き上がって中々恰好いい。 Fさんが「イタリアのゴンドラみたい」とはやす。もっともゴム艇は安定は良いがスピードが出ないので漕ぐ方はかなり大変そうだ。我が艇はファルト。 |
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湖面には点々と小さな島が顔を出していて、中々風情がある。水はまずまず透明で、手を着けてみると思ったよりえらく温かい。真夏の海水浴場並みだ。磐梯山の頭には雲が掛かっている。少し漕いで一番近い小さな島に上陸。F氏がTシャツを脱いで泳ぎ出したので真似して泳いでみる。ライフジャケットを着ていると楽チンだがかなり泳ぎにくい。しかし、誰もいない静かな湖でのんびり水に浸かって空を見上げるのは実に気分がいい。 その空には大分雲が増えてきた。K氏は防水ケースに入ったデジカメで盛んにシャッターを切る。再び漕ぎ出すと目の前に大きな半島が張り出している。F氏が「これは島だと思うな。両側から行って向こう側で会おうよ」と言い出した。「いやー、そんなはずはないな。これは半島だよ」と言ってみたが、地図を車に置いてきたので確かめられない。とにかく行ってみるかと両サイドに別れて漕ぎ出した。F・K氏は「島」の右へ、当方は左へ進路を取る。雨はかなり強くなり、雷も激しくなって来た。 「おいおい話が違う」すぐに止むと言った管理人がうらめしい。奥の岸まではかなり遠く、雨に煙っている。左は湖岸、右が「島?」でこの「入り江?」は幅300m、長さ1km位あり、左の岸には湖岸沿いの道路が見え隠れして時折車の気配がするが、右の「島?」は全く人の気配はない。両サイドともミズナラやカラマツが密生しており、一面の緑の中、所々に白くて大きなヤマユリが雨に濡れている。雷が気になるのでなるべく「島」の岸に近いコースを取る。ようやく奥に近づくと岸辺にテントが張ってあり、カヌーを漕ぎ出す親子がいた。右側の「島」の付け根には川(後で地図を確認すると中津川)が流れ込んでおり、やはり半島と判明。 先程泳いだ時にTシャツを脱いだままでライフジャケットしか着ておらず、雨に濡れて少し寒くなってきた。早く戻りたいが先は長い。2km以上はあるだろう。帰路は道路がある方の湖岸沿いを進む。何時の間にか黒雲が低くたれこめた対岸の山に稲光がきらめく。ピカーっときてからゴロゴロまでの時間を数える。10秒以上はあるが、間隔が短くなって雷雲が近づいているようだ。何とか入り江の出口まで戻って二人を探す。F氏がいた。彼はもっと先へ行きたそうにしていたが、雷雨が止みそうにないのでキャンプ場へ戻ることにする。K氏が見えないが先に帰ったのだろう。 いくつかの小さな島の間を抜けると、広い湖面の向こうにキャンプ場が霞んでいる。遮るもののない水の上で雷鳴が轟くとかなり気持ち悪い。自然にパドルのピッチが上がる。F氏は余り気にしてないようだ。 いつまでも 雷鳴轟く 秋元湖 湖に 稲光して 胆冷やす 無事キャンプ場に帰り着いたのは4時半頃だったろうか。K氏がテントから出てきた。カヌーをテントの脇に引上げ、炊事小屋の屋根の下で雨が止むのを待つ。「5時には止むよ」と希望的観測を言ってみたが一向に止まず、雨も雷も益々激しくなる。「ピカーッ」「バリバリー」「ドカーン」と派手に鳴り捲るので、食事の支度どころではない。10張り以上あるテントも静まり返っている。さっき「すぐ止む」と言った管理人のおじさんが、「こんなのは珍しいねー。いつもはすぐ止むんだけど」と言い訳している。 カモの親子がごそごそと木の下で雨宿りだ。数えてみると10羽以上いる。さしもの雷雨もようやく小降りになり、空が明るくなって来た。雲がどんどん消えて行き、対岸の白布山に夕陽が柔らかく当たり出し、右奥には磐梯山が姿を現した。カモの親子は一頻り餌を漁っていたが、やがて一列に並んで湖面へと出て行った。炊事小屋で夕食の支度を始める。どういう訳か他のテントの人達は誰も炊事場へ来ないので3人で独占出来る。水は近くの山から湧き水をパイプで引いたそうで、パイプが詰まらないよう蛇口は開けっ放しだ。 |
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ジャガイモとトウモロコシと枝豆を大鍋で茹で、炭を熾す。硬くていい炭なので火付きが悪い。辺りが暗くなった頃、ようやく熾った火に網を置いて手羽や骨付きカルビ、茹で上がったトウモロコシなどを載せ、ビールで乾杯。熱々のジャガイモの皮を剥き、塩を付けてかぶりつく。醤油で香ばしく焼けた手羽がいい匂いだ。Fさんが焼いたトウモロコシに割り箸を突き刺して持ち易くしてくれる。骨付きカルビにかぶりつく頃には満腹状態だった。雨上がりで涼しくなったキャンプ場の夜は静かに更けて行く。 【2日目】 5時起床。風もなく快晴。ゴミを漁っているのかカラスがうるさい。昨夜は標高800m近い高原とは思えないほど暑くて寝苦しかったが、目覚めは爽やかだ。磐梯山も左手奥(ほぼ真東)の安達太良山も良く見える。早くも「何時に寝ても4時には目が覚める」という管理人が「出勤」して見回っているので色々話を聞く。どうも「管理人」ではなく、オーナーのようだ。 「この辺り積雪は1m以上。雪が消えるのは4月末。人が多いのは夏休みと、9月・10月の連休位。11月には雪が積もる。ここの奥にもキャンプ適地はあるが所有者の東京電力が自然保護の為立入り禁止にしている。このキャンプ場は親の代から経営していて、なるべく人工施設を作らず自然のままにしている。女性客に評判悪いのでトイレだけは建替えようと思っている。磐梯朝日国立公園の中なので、もう新しいキャンプ場は許可されない。場内の樹木はほとんどがヤナギでクルミやカツラが少しある。入口にある大きなカツラの紅葉は素晴らしい」そうだ。 梅よりも大きいクルミの青い実を一つ拾う。つるっとした肌にべたべた粘り気がある。「かぶれるよ」とオーナーに注意されて手を洗う。起き出してきた二人と朝食の準備に掛かる。献立は昨日の残りのジャガイモと茄子とねぎをたっぷり入れた味噌汁と納豆と冷奴とご飯。しっかりと食べて、後片付けをし、8時過ぎ再びカヌーを漕ぎ出す。湖面には既に2艇が出ていて東へ向かっている。我々も同じ方向を目指す。朝の逆光が漣をキラキラと輝かせ、そのはるか彼方には安達太良山が長々と横たわっている。 安達太良の 峰遥かなり 秋元湖 |
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昨日と違って対岸(南岸)寄りを写真を撮りながらゆっくり進む。そう言えば昨日は雷雨で写真どころではなかった。半島の辺りまで来ると西吾妻を始めとする吾妻連峰が入道雲と青空をバックに大きくそびえている。発電所を過ぎ、白布山の麓に小さな入り江があったので上陸してみる。 ここは小さな流れが流入しているせいか岩が苔むしておらず、透明度も高い。木々を観察したが葉が菱形で皮質のマンサクやサワシバ(カバノキ科クマシデ属。サワシデともいう。葉はハート型で細かい重鋸歯がある。5cm程の果穂を持ち帰って図鑑で調べて名前が分った)ぐらいしか判らない。3人で泳いだり、石投げをしたりして遊ぶ。そのうちF氏は枯れ木とつるでいかだ作りを始めた。もっとも進水式は成功しなかったが。 湖の東端を目指して再びパドルを振るう。陽射しがきついが空は青く澄み切っている。右の大きな入り江に単独の人がカナディアンカヌーを引き上げて、椅子に座って昼寝のようだ。ようやく大倉川河口のキャンプ場が見え始めた。かなりのテントが張ってあり、バナナボートが頻りに爆音を上げて行き来する。帰路は北岸沿いのルートを取る。ファルト艇が一つまた一つとすれ違う。エンジン付きの釣り舟もちらほら。また島に上陸して岩の上から群れて泳ぐ小魚を発見。 岸辺にはミズナラ、アカマツ、カラマツ、ナナカマドなどが目に付く。トンビがピーヒョローとのどかな鳴き声をあげ、ウグイスも囀り続ける。キャンプ場手前の林中に気の早いナナカマドが1本、半分黄色と赤に色付いていたのが印象的。10時半にはキャンプ場に帰着。帰路の渋滞が心配なので早立ちをすることにする。テントやカヌーを撤収し、荷物を積み込んで「もう帰るの。また秋に来なさいね」というオーナーの声に見送られてキャンプ場を後にしたのは昼前だった。時間があれば小野川湖にも足を伸ばすつもりだったが、また次回に取っておこう。 【注1】裏磐梯三湖:秋元湖、小野川湖、檜原湖。いづれも明治21年に磐梯山の噴火による溶岩流で堰止められて形成された。他の五色沼などの大小無数の湖沼もこの噴火で出来たそうだが、磐梯山北方の集落は埋没し、460名の死者が出たという。最も大きい檜原湖は観光船が出ておりカヌーを楽しむ雰囲気ではない。秋元湖と小野川湖はいづれもカヌーツーリングに適しているが、秋元湖が最も静かだとか。小野川湖は面積1.4k�屐�周囲9.8km、水深21.8m、湖面標高797m。秋元湖は面積3.3k�屐�周囲19.9km、東西4.6km、南北1.7km、水深34.1m、湖面標高767m。 【注2】秋元湖キャンプ場:湖岸の静かなキャンプ場。ほとんど自然のままで設備は炊事小屋とトイレ位。遠浅でカヌーの漕ぎ出しも便利。磐梯山が間近に見え、安達太良山も吾妻連峰の一部も遠望出来る。テント一張り2500円/1日。車1台1000円/1日。我々は二人用と一人用のテント二張りだったが小さいので一張り分にまけてもらった。端の方にバンガローもいくつかあった。 |