森の雑学その6 種の旅行


●種の旅は何のため?  【種子散布の意義】

*固着性(移動出来ない)生物である植物にとって種子は唯一の移動手段であり散布には以下のような条件がある
�/討�ら離れること : 親の周りには特有の食害者や病害微生物など危険が多いため
��広範囲に分散されること : 広範囲に子孫を残せる。また適地に辿り着く確率も上がる
�E�切なセーフサイトに到達すること : 発芽に適した場所に辿り着けば繁殖が成功する

*散布旅行の仕方は以下のようにバラエティーに富む




●風に乗る旅  【風散布】

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種子に「翼」や「へら」などを付けて風に乗り滑空飛行する
ケヤキ、キリ、シャクナゲ類、カンバ類、シナノキなど

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種子の側面に翼または袋状の小葉を付け、クルクル回りながら風に乗って遠くへ飛ぶ
マツ類、シデ類、カエデ類、トネリコなど

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タンポポなどキク科植物

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種子の周囲に綿菓子のような毛がありボタン雪のように空中を乱舞する
ヤナギ類、ポプラ類(北京の名物 柳架)

�ト�細種子型
胞子のように微細な種子で風に飛び散る雲散霧消型
ラン類、ツツジ類



●水に流される旅  【水散布】
水に浮き長い旅に出る
ヤシなど(インドネシア原産のフタゴヤシの実は長さ40cm、重さ20kgで世界最大の種である)



●転がる旅  【重力散布】
種子が大型で重量があり、母樹から落下して跳ね返ったり、斜面を転がる「ドングリころころ」タイプ
クヌギ、ナラ類、クリ、カシ類、シイ類、ブナ、トチノキ、クルミ、ツバキなど


●動物に乗る旅  【動物散布】

�\歐�型
鳥などに食べられて遠くに移動し、糞と共に排出されて分布を広げる。食べられなければ重力散布になる
サクラ類、ムクノキ、エゴノキ、ヒサカキ、ムラサキシキブ、ナンテン、マユミ、ナナカマド、ハナミズキ、ヌルデ、ハリギリ、ホオノキ、クスノキ、モチノキ、ミズキなど

��貯蔵(貯食)型
リスやネズミ、ホシガラス、カケスなどはブナやドングリなどの木の実を冬に備えて地中に蓄える習性があるが、食べ忘れたものから発芽することが多い

��アリ散布
ケシ、キンポウゲ、スミレ、カンアオイ、ハコベなどの種子は表面にエライオソームという脂肪分に富む粒を付けており、これを好むアリが巣に持ち帰りエライオソームを外した種子は巣の周囲に捨てられる。栄養豊富なアリのゴミ捨て場で成育出来る。

�ど嫦綏浸局�
人間の衣服や動物の体毛に付着して散布される
オナモミ、キンミズヒキ、センダングサ、イノコヅチ、ヌスビトハギなどの草本類



●自爆で飛ぶ旅  【自発散布】
成熟すると何らかの刺激で種子が跳ね飛ばされる構造になっている
マンサク、トサミズキ、ホウセンカ、マメ類、ツリフネソウ、カタバミ、フジなど



●チャンスを待つ種  【種子休眠とシードバンク】

*悪条件の場所に到達した場合、発芽を延期して条件の好転を待つ
このため長い寿命と周辺環境モニター機構が必要

*発芽せずに土壌中にシードバンク(埋土種子集団)を作り、休眠状態で数十年〜数百年待機して、攪乱・倒木などによりギャップ(植生のない明るい場所)が形成されると昼間の高温などが休眠を解く刺激となり発芽する。埋土種子から発芽する代表的な種は草本類ではタケニグサ、木本類ではアカメガシワ、ヌルデ、シラカバなどでありこれらをパイオニア植物と言う

2011.3.21