こんなはずじゃなかった殿平物語(812m)
 
日  時:2019年1月5日(土)
行  程:844高尾―932,940初狩〜子の神社〜1150,1245殿平〜子の神社〜1515,1541初狩―1647立川
歩行距離:約7km、コースタイム2時間20分、実歩行時間:約4時間、累積標高差上り400m・下り400m
ルート断面図とルート図
殿平断面図 殿平ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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殿平 殿平 殿平 殿平
 すっきり晴れ渡った青空の下、中央線初狩駅にに到着した我々以外にも数組の登山グループが降り立ったが殿平へ向かう人はいない。甲州街道を西へ進んで宮川を渡り、《藤沢入口》の信号を右折、桂川の支流である笹子川を渡る。素晴らしく透明な流れが清々しい。 中央道をくぐると藤沢集落を縫う緩やかな上りとなる。所々《あいさつ街道》という看板あり。以前下りで休憩したベンチが見当たらないと思いながらゆっくり登る。

 振り返ると富士山の頭に雲が掛かっている。気温が高いので毛糸の帽子は脱ぎ、頭にタオルを巻く。ほぼ予定通りに子の神 社到着。神社の裏手から手入れの良い杉林の急登が始まる。ジグザグの道は段差がなく歩きやすいが結構斜度がきつく、思いの外距離がある。先月の倉岳山同様倒木が多く、スギなど曲がった枝が道を塞いで蹴躓きそう。ようやく斜度が緩むとヒノキに変わった。赤茶色の実がたくさん落ちている。再び 富士山が姿を現す。相変わらず雲が取れない。

 TVアンテナのある700m付近は右手が開けて中央道や初狩の街並みが良く見える展望台だ。百反刈山(797m)の手前で「先に行ってモチ焼きの準備をします」餅焼き隊が先行する。小さな表示のある百反刈山を過ぎると下りとなった。記憶にある緩やかで幅広いイメージと余りにも違うので、道 を間違えたかと心配になる。馬の背状の痩せ尾根を下って登り返す。最後の登りは短いが急斜面の直登で厳しかった。「こんなにきつかったかなー」12時少し前、ようやく812mの殿平山頂に到着。

「もうすぐ餅が焼けますよー」シートを広げて靴を脱ぎ、陣取る早々ありがたいことに海苔巻き餅が 配られる。頭上からはウグイスの練習鳴きのような声も響く。ほとんど風もなく全く寒くない。三等三角点がある狭いピークの北には1590mの滝子山がドーンと鎮座し、それに連なる大谷ヶ丸、大蔵高丸などの稜線が、南側には御正体など道志の山々が見える。

殿平 殿平 殿平 殿平
  1時間ほどで腰を上げ、下山開始。迷いやすいルートなので慎重に目印のテープを探しながら下る。倒木が折り重なった尾根道では小さな目印を見つけるのは大変だ。木の幹に打ち付けられた《藤沢集落まで40分》の小さな看板は左へ斜面を巻くように下る道を指しているが、尾根正面の倒木の先には 赤いテープが続いて緩やかに登るよう指示している。この道は北へ向かっているので本来のルートではないようだが、余りにもはっきりと付けられており半信半疑でしばらく進んでみる。

 しかし、その先では目印はなくなっているので引き返すことに。看板の所まで下り、尾根の左のかすかな踏み跡を辿ると明瞭な下り道に出た。やれやれ安心と下って行くとまた目印がなくなった。「おーい、ここにテープがあるよ」殿(しんがり)のK氏が道の右端の小さなテープを見つけてくれた。登り 返してよく見ると右手の森の中に道がある。

 ここから先も楽ではなかった。何とか沢筋に近づき、やれやれもうすぐ林道かと思ったが、薄暗い森の中は倒木や落ち枝でルートが荒れ放題でまともに歩けない。廃墟のようなバンガローが点在するキャンプ場を通過。沢に掛けられた手製の木橋を渡り、 狭いが舗装された林道に出た。ここには一軒家があり、出て来た御主人にこのルートの状況を色々説明してもらう。キャンプ場はとっくに廃業しており、時々熊が出るそうだ。倒木は最近の台風によるらしい。やはり迷う人が多いとのこと。

 少し下ると滝子山へ向かう道との分岐点。ここには大きな案内板がある。すぐに子の神社通過。富士山の雲は取れたが雪煙が少し残っている。藤沢集落で一休み。さらに下ると何と中央道手前の道脇にベンチが並んでいた。「えー、今朝はこれに気が付かなかったんだ」ボーっと歩いていたらしい。皆、 富士山に向いたベンチに座り双眼鏡で覗く。先月と違い雪量が格段に増えている。のんびり下って初狩駅に到着。《こんなはずじゃなかった殿平》は中々刺激的な楽しい山だった。

追記:帰宅後、地図をよく見たら下山ルートの尾根を直進するとクラコ山(1037m)へ繋がっていた。赤テープはそのルートを示していたと思われ、そうであれば《藤沢集落まで40分》の看板をもう少し大きく目立つようにして欲しいものです。チョロい山だと思っていた殿平は健脚向きの立派な山 でした。如何に記憶が曖昧か、如何に体力が落ちたか思い知らされました。ごめんなさい。