握り沢から早池峰(1917m)
 
日  時:2009年7月20日(月)
天  気:晴れ
行  程:19日 白石−盛岡南IC−門馬登山口650m(車中泊)

      20日 450門馬登山口〜550,605握沢〜615コリトリバ〜628平津戸分岐〜805,8151460m地点大岩〜8509合目1630m〜938,1042早池峰〜1142,1144大岩〜1300,1305握沢〜1344登山口−矢巾温泉−紫波IC−白石

累積標高差:約1290m
歩行距離:約11.6km
コースタイム:7時間
実歩行時間:7時間30分

ルート断面図とルート図
早池峰断面図 早池峰ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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一般に“早池峰山”と呼ばれているが、深田久弥の【日本百名山】に拠れば“山”は余計だという。それに従ってここでは“早池峰”と呼ばせてもらう。高山植物の宝庫として、そしてその何ともいえない心地よい名前に惹かれて、随分昔からいつかは訪れたいと思っていたが、何せ僻遠の為その機会を得なかった。

2年間の白石勤務も終わりに近付き、この東北の名峰を歩いてみることにした。今週は3連休なので、車中2泊で隣の岩手山と続けて登ろうと欲張ったのだが、連休前半は悪天で最終日のみ好天が期待できそうなので、早池峰に絞って北側の登山口である門馬まで300kmの道を飛ばしてやって来た。

この山は南側の河原の坊または小田越から登るのが一般的で、登山シーズンにはマイカーは規制されてシャトルバスが運行されており、多くの人が列を成して登るようである。行列は嫌なので標高差は大きく、距離は2倍近いが敢えて門馬口を選んだ。

数キロの砂利道を辿って夕闇が迫る頃ここへ到着したが、5〜6台位は置けそうなスペースはある。鬱蒼と繁った森の中で唯独り、久し振りの車中泊は一寸心細い。標高650mだが気温は18度もあり、タオルケットで十分だった。 5時前、ゲートをくぐりまだ明けきらぬ森の中の林道を歩き始める。右下には轟音を立てて握沢が流れている。数分で左手に道標があり山道に入る。クロベやカツラ、トチノキなどが立ち並ぶ針広混交森を縫う道には所々鉄橋が掛けてあり、よく整備されて歩き易い。野鳥の声が爽やかに響き、ヤマアジサイが咲き残っている。

握り沢右岸の高巻き道から沢身に戻り、大きな堰堤から沢沿いの道となる。水量多く迫力ある激流が続いている。道が崩壊してロープを張った高巻き路が一箇所あり。6時前、沢のほとりで朝食とする。雪解け水は冷たく測ってみたら8度だった。気温は13度と爽やかだ。サワグルミやカツラなどの間を抜ける登山道の至る所に透き通った湧き水が豊かに流れており、本来の自然林の姿を感じさせる。


早池峰 早池峰 早池峰 早池峰
 
やがて沢を木橋で渡る。対岸に鳥居がありコリトリバらしい。ここから急登となる。六合目の平津戸分岐を過ぎる頃から、朝日が差して樹の香りが強くなる。フィトンチッドが溢れている感じだ。カニコウモリがちらほら。緩斜面を進むとシラビソの巨木が道を塞いでいた。最近倒れたばかりのようで取っ掛かりがなく越えるのに梃子摺る。木の根や苔むした岩が濡れていて極めて滑りやすい。気温は14度だが風なく暑い。シラビソには地衣がびっしり覆っている。1200mを越える頃左下から沢音が聞こえ、また急登となる。8時前、森林限界を抜け北の大展望が広がった。空は快晴だ。標高は1380m。

突然下から単独の人が現れて驚く。先方もびっくりしている。平津戸コースから上がって来たそうだ。オガラバナ、ダケカンバ、シラビソ、コメツガ、ナナカマドなどの低木帯が続き、ウラジロヨウラク、イソツツジが咲いている。 8時過ぎ、展望良い大岩で休む。風が気持ちよい。岩手山は雲海の上に頭だけ出している。この山の地図にないルートの説明を聞く。沢沿いの道には熊が出るらしい。相当通っている人のようで歩く早さは尋常ではない。

9時前9合目の水場を通過。ハイマツ帯の濡れた岩場が続き、段差大きく疲れる。早くも2人下山して来た。 ようやく山頂小屋が見えた。9時半、メインルートの小田越えコースと合流すると途端に人が多くなる。木道の両側にコバイケイソウ、ヨツバシオガマ、タカネニガナなどのお花畑が広がっているが盛りは過ぎていた。短い梯子を越えて、9時半過ぎに早池峰山頂着。


 
早池峰 早池峰 早池峰 早池峰
 
山小屋や祠のある広い山頂には大岩が林立して見通しが利かない。お陰で大勢人がいるのが気にならない。依然快晴で風はほとんどなく絶好の登山日和だ。気温は17度。岩陰に陣取っていつも通り裸足で寛ぐ。大岩で出合った人が声を掛けて来て、花の場所を教えてくれた。彼はこれから剣が峰を越えて地図に表示がない東の尾根を下るそうだ。教えられた山頂の東側へ少し下って花の写真を撮る。

ハヤチネウスユキソウがたくさん咲いているがミヤマアズマギク、ミヤマオダマキなどその他の花は盛りを過ぎていた。10時42分、山頂を後に同じ道を下る。時々登って来る人とすれ違う。ウコンウツギ、コメツツジ、ハクサンシャクナゲ、ギンリョウソウなどが目に付く。


 
早池峰 早池峰
 
展望大岩で少し休むが岩手山はやはり雲に隠れていた。濡れて苔むした岩や木の根は良く滑り、何度も足を取られて尻餅を付く。山靴のビブラムが磨り減ってツルツルのせいもあるか。岩場が終わると緩やかな木の根道となる。今朝苦労した大倒木に早くも新しい巻き道が出来ていた。自然保護パトロールの人が作ってくれたらしい。 標高1000mを切ると沢音が聞こえ出す。平津戸分岐を過ぎジグザグ道を辿ると鳥居があり握沢に出た。朝食を取った沢で顔や手を洗い、体を拭く。実に爽やか。熊除けの笛を吹きながらズンズン下る。13時40分林道に出てしばらくすると駐車場だった。