峨ヶ温泉から名号峰(1491m)八方平
 
日  時:2009年9月1日(火)
天  気:晴れのちくもり
行  程:615白石−703,720峨ヶ温泉〜810猫鼻〜923,932名号峰〜955,10001280m〜1100,1110八方平避難小屋〜1247,1322名号峰〜1410,1416猫鼻〜1447峨ヶ温泉−黄金川温泉−白石

累積標高差(上り):約1230m
累積標高差(下り):約1230m
歩行距離:約14.8km
コースタイム:約7時間5分
実歩行時間:約6時間20分

ルート断面図とルート図
名号峰断面図 名号峰ルート図
カシミール3Dにて作成しています

昨夜台風11号が通過して予報では今日は曇りなので山は予定していなかったが、台風が速度を上げて通過したらしく朝起きたら晴れていたので急遽支度する。目指すは蔵王連山の縦走コースのうち唯一空白である名号峰から雁戸山だ。

目覚めてから35分で車をスタートさせる。いつも通りコンビニで朝昼分を調達し峨ヶ温泉へ向かう。峨ヶ温泉脇の路肩に駐車して朝食を済ませ入念にストレッチして出発。空は快晴。台風一過で空気が澄んで秋の気配が強い。雁戸山までは長丁場なので歩き出しはペースを落とす。

人気は全くないので熊除けの笛を数分毎に吹く。ジグザグの急登だが段差もなく歩き易い。朝日が差して木漏れ日が揺れる。気温は16度。よく整備された道なので猫鼻を順調に通過。時折り吹き抜ける風が爽やかだ。イタヤカエデやコハウチワカエデなどの黄葉がチラホラ落ちていて秋の訪れを感じる。

左が開けて五色岳方面が見えるが山頂付近には雲が掛かっている。ブナ、ミズナラ、ダケカンバの森を大汗掻きながら徐々にペースを上げ2時間で露岩の名号峰に達する。標高差700mを一気に登ってここまでは快調だった。エコーラインの大黒天辺りが見えるが、熊野岳方面や烏帽子山頂には雲が掛かっている。

台風の吹き返しなのか帽子が飛ばされそうな強風が冷たい。名号峰からいよいよ未踏の北蔵王縦走路へ足を踏み入れる。途端に道は頼りなくなり踏み跡程度で歩き難くなる。刈払いされておらず背丈を越す笹や潅木が道に覆い被さり足元が見えず、木の根や岩の段差も大きいのでピッチが大幅ダウン。

加えて傾斜のきつい登り下りの繰り返しで消耗。朝露でズボンが濡れるので雨具を着ける。展望のない稜線だが日陰で暑くないので助かる。ぬかるんだ場所も多く靴も泥んこになり、雲が厚くなって今にも雨が落ちて来そうになり登降意欲も減退。ようやく八方平の避難小屋に着いたのは11時丁度。

ここから南雁戸山までは45分だ。行けなくはない微妙な時間帯だが、雨が降りそうな陰気な空で展望もなさそうなので打切りとし、オヤマリンドウが多い道を引き返す。ブナの実が大量に落ちている。八方平から緩やかに100m程下った最低鞍部から名号峰まではたかだか300mの標高差だ。

しかし、少し登っては下りまた登っては下りの繰り返しが10回以上続き、気温も20度近くなったのでばててしまった。常に熊を警戒するのもくたびれる要因だ。たまに展望が開け、雁戸方面を振り返ると避難小屋から南雁戸はすぐ近くだった。あんなに近いなら行けばよかったと悔やんだがもう遅い。 13時前にようやく名号峰に帰り着き、例によってシートを広げて裸足になりのんびり昼食とする。

下り始めてすぐ単独の人が登って来た。今日初めての登山者だ。何だかほっとする。周囲は珍しくダケカンバの純林だ。1300m辺りからブナやミズナラが増えて来て、やがてミズナラが優勢になる。 猫鼻を過ぎて1000m付近からガスが掛かり出した。小沢を渉る。ここの水は冷たくてうまかった。ジグザグの道に入ると沢音が大きくなり、峨ヶ温泉の赤い屋根が見えると登山口はすぐだった。

9月5日には白石を離れるので蔵王連峰もこれが見納めと思うと、通い慣れた山道を運転しながら若干感傷的になる。山にスキーに実に充実した2年間だった。こんな得難い機会に恵まれたことに感謝したい。