不忘山から屏風岳の紅葉(不忘山・屏風岳・水引入道)
 
日  時:2008年10月4日(土)
天  気:快晴のち曇り
行  程:620白石−645,707白石スキー場〜737女子高小屋跡〜805,8121050m〜853,900弘法清水〜1000,1010不忘山〜1053,1102南屏風岳〜1137,1143屏風岳〜1210,1244水引平〜1305水引入道〜1330,13341500m〜1400,14071300m〜1500林道〜1531,1535白石スキー場―鎌先温泉―白石

屏風岳

ルート断面図とルート図
不忘山断面図 不忘山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

写真をクリックすると拡大します また不忘山水引入道の紅葉は photos をクリックして下さい


今年の紅葉は少し遅れているとの情報があったが、先月末には刈田岳で雪が降るなど大分冷え込んだので、そろそろ不忘山から屏風岳にかけての稜線付近は色付きも進んでいるだろう。快晴の空の下、遠路船橋から来てくれたF氏と共に白石スキー場を目指す。 鎌先温泉を経て20分余りで到着し、広い駐車場に車を停め朝食を摂る。間もなく名取から参加のI氏も到着し、7時過ぎ不忘山目指して歩き出す。今日のルートは屏風岳から水引入道を経て白石スキー場に戻る長い周遊コースだ。長丁場なので歩き出しはスピードを抑える。女性2人パーティーが先を行く。

15度とこの時期にしては気温が高いが湿度が低く爽やかだ。しばらくゲレンデを登り平坦な道を少し進むと白石女子高小屋跡に出る。中年女性2人組に追い着き、声を掛けて先行する。ここから山道らしくなり傾斜が増す。何度も通った道だが、この辺りはよく見るとほぼミズナラの純林である。朝日が木漏れ日となって森の中を照らしている。

キラキラと木漏れ日光る楢の森

1050m付近で1本立てていると先程の女性2人にまた先を越される。この辺りから木々の色付きが始まった。F氏とI氏は感激して写真を撮りまくっている。 高度が上がるに連れて真っ赤に色付いたハウチワカエデやサラサドウダンが増えて来る。これなら山頂付近はかなり期待できそうだ。弘法清水で2本目。高度計は1350mを指している。周囲の紅葉は去年より明らかに素晴らしい。不忘山や水引入道も良く見えて遠目にも鮮やかな色付きがはっきり判る。

「素晴らしい紅葉ですねー」 「稜線上はこれより10倍すごいよ」 「えー、そんなにすごいの?」 「去年は天気が悪くていい写真撮れなかったけど、今日は青空だから素晴らしい写真が撮れますよ」 ぬかるんで滑りやすい階段道で単独の高齢者に追い着かれてしまったので道を譲る。しょっちゅう登っている地元の人だろう。続いてやって来た年配者は譲っても先へ行こうとしない。

仙台から来たというこの人とは写真を撮り合ったりしながら不忘山まで一緒に歩く。賽の河原で休憩していた女性2人パーティーを再び追い抜く。間もなく不忘の碑に到着。不忘山に雲が掛かり出した。手前の谷から水引入道にかけての見事な紅葉は紅黄緑の点描画のようだ。どうやらこの辺りは紅葉のピークを迎えているらしい。

「うわー、すごい!」 「天気も紅葉もいい日に当たったねー!」 「最高ですねー!」 3人揃って感嘆符の連続だ。10時丁度、不忘山山頂(1705m)に立つ。山頂は風が強く雲が飛ぶように過ぎて行く。気温は11度に下がった。雨具の上着を着込み、帽子と手袋を冬用に替える。


不忘山 不忘山 不忘山
 
皆余力十分なので水引入道まで行けそうだ。岩場を少し下り、鎖のあるガレ場を登り返す。 南屏風の稜線に出るとガスっていて視界50〜100m位。これでは折角の紅葉も見えない。

「残念だねー」 「がっかりだね。でもまた晴れるかもしれないよ」 ガスの中、足元にオヤマリンドウが咲いているのを見つけて驚く。さすがに盛りを過ぎて色褪せてはいるが、この後も稜線上のあちこちに姿を見せていた。前方から大勢の高校生が降りて来た。70〜80名の研修登山のようだが、登り優先なのに延々と待たされるので大迷惑だ。 若いうちに山を歩くのは大いに結構だが、10名程度の班に分けるのがマナーだろう。11時前、南屏風岳(1810m)に到着。ガスでほとんど展望はない。気温は9度まで下がった。行動食を口に入れてすぐ出発。空は厚い雲に覆われ、期待した南屏風の紅葉はガスの切れ目からチラッと見えただけ。

後は水引入道に期待しよう。熊野岳方面は全く見えないまま屏風岳へのなだらかな稜線を辿る。再び若者の団体とすれ違う。水引入道への分岐を過ぎて間もなく屏風岳(1817m)に到着。大勢の登山者で一杯の山頂には新しい立派な標柱が立っていた。7月にはなかったから建てたばかりのようだ。 昼食は水引平で摂る事にしてすぐ引き返す。分岐まで戻ったがガスは晴れず、結局南屏風の紅葉は見ることが出来なかった。


不忘山 不忘山 不忘山 不忘山
 
しかし、急斜面を下るに連れていよいよ水引入道の豪華絢爛たる紅葉が目の前に展開し始めた。実に見事で正に「山粧う」である。二人は写真を撮り合っているらしく待っても来ないので先行する。

彼方まで山粧いて息を呑む

池塘のある小さな湿原である水引平に降り立つ。さっきまでいた登山者も立ち去って今は誰もいない。正面の水引入道は正に全山燃えるような紅葉を纏っており、振り返ると屏風岳の山肌も黄色に染め上げられ赤や緑が混じって見事だ。前後左右上下全て紅葉に包まれて陶然となってしまう。 それぞれ一眼レフを首から提げたカップルが降りて来て写真を撮っている。いつまで経っても二人が来ないのでシートを広げ、おにぎりを食べ始める。ようやくF・I氏が到着。 簡単に昼食を済ませ水引入道へと向かう。青空ではないのが一寸残念だが、時折日が差して紅葉の山肌を照らしてくれるのでいい写真が撮れそうだ。


不忘山
 
高度が少しずつ上がるに連れて紅葉の見え方もどんどん変化して感動の連続。歓声が上がり続けるが、とてもこの大景観はカメラに収まり切らない。

「うわー、これはすごい」 「こっちもすごいよ」 「10倍じゃなくて20倍ですね」 ナナカマドやサラサドウダンは赤、ダケカンバやコシアブラは黄色、ハウチワカエデやオガラバナは赤と黄色両方ある。それらにオオシラビソ、シャクナゲやハイマツなどの緑が混じって錦を織り成している。水引入道(1656m)のピークに立ち、屏風岳方面の紅葉のパノラマをじっくり眺め網膜に焼き付ける。 風が強くて帽子が飛ばされそうだが、ガレ場を下りながら写真を撮り続ける。権現沢との分岐に道標がありジャンボリーコースへ下る。ロープのあるぬかるんだ急坂を下るとブナ林が延々と続く。明るいブナ林で雰囲気は素敵だが、全く展望は無く単調なのでここを登るのは嫌になるだろう。

結局、水引入道から林道に出るまで2時間近く掛かり、膝が痛くなって来た。林道は一車線の砂利道だが緩やかな登りなので膝への負担が和らぐ。前方からまた高校生の団体が行列でやって来た。 どうやらこの先の南蔵王青少年野営場で何かイベントがあるらしく、関係者らしい車も頻繁に行き来しており、その度に道脇の草むらに入ってやり過ごす。30分の林道歩きでスキー場の広い駐車場に帰着。今朝は良く判らなかったが、改めて見上げるとここから水引入道がよく見える。 車に乗った途端、雨がぱらつき出した。鎌先温泉に立ち寄って帰途に着く。20回目の蔵王登山は素晴らしい紅葉に恵まれて大満足の山旅となった。

参考:鎌先温泉木村屋 日帰り入浴料 500円