雪の大岱山《おおぬたやま》(1190m)
 
日 時:2002年12月14日 
行 程:1005金山鉱泉―1050,1100南尾根―1210,1355大岱山―1430金山峠―1520林道―1535金山鉱泉

ルート断面図とルート図
 
大岱山断面図 大岱山ルート図
カシミール3Dにて作成しています

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大月ICから大月駅方向へ甲州街道を少し戻り、桂川を越えて左折し、浅利川沿いに狭い舗装路を登って行く。空は雲一つなく晴れ渡り、気温は2度位か?金山鉱泉の少し手前に小さな駐車場があった。それ程寒くないが路面はしっかり凍結していてここから先はチェーンがないと進めない。100m程歩いて金山鉱泉山口館前で道を教えてもらい、雪を踏んで急登を進む。雪の上にはスギの枯葉と実がたくさん落ちている。辺りは物音一つなく静まり、聞こえるのは「ザッザッ」と雪を踏む音だけ 風もないので早くも汗びっしょりだ。フリースを脱ぎ、軍手も外す。

   杉林 雪踏む音の 響くなり

斜度が落ちてアカマツ林になる。「ギャーギャーギャー」あちこちの枯れ枝に止まっている鳩くらいの大きさでオレンジ色のきれいな鳥が汚い声で鳴いている。「あれはカケスだよ。姿はきれいだけどあの声じゃね」「歌のイメージと違うな」確かに春日八郎の《別れの一本杉》にある「山のカケスが鳴いたって・・」という詩情あふれる雰囲気ではない。右手が開けて道志の山並みが見え出す。富士山も見え始めた。ミズナラ、イヌシデ、コナラなどはすっかり葉を落して冬姿だ。イヌブナが縮れた枯葉をまとっている。やせ尾根の直登となった。アセビが随分多い。リョウブもちらほら。

   日溜りの 雪の尾根道 息弾み

さっきから大岱山の平たい頂稜部が右上間近に見えているのだが、一向に稜線にたどり着かないのでぼやきが出てきた。11時50分、ようやく大岱山と金山峠を結ぶ稜線にたどり着いた。ここを右折すると北斜面のカラマツ林の巻き道となる。雪の量が格段に増えて靴に雪が入るようになった。スパッツが必要な程雪が深いとは予想外だ。北面の山々がくっきりと見える。白く雪を被っているのは白谷丸、右の大きいのが黒岳。正面が雁ヶ腹摺山、その右の小さいのは姥子山だ。白谷丸から左の平らな稜線が大蔵高丸。滝子山はここからは見えない。

大蔵高丸方面 大岱山頂付近 大岱山頂付近
 
目の前に平らな雪原が広がり、なだらかな山頂部に着いた。ピークがどこか判らないのでそのまま進むと下りになってしまった。「これはセーメーバンへの下りだから引き返そう」今日は誰もいないと思っていたが中年夫婦が登って来た。二人とも8本歯アイゼンにスパッツで足元を固めている。ピークらしい高みに登ってみたが頂上ではない。結局、山名表示板があるという山頂は見つからなかったが、近くまで来たことは確かなので登ったことにして宴会場を探す。コナラやミズナラに囲まれた窪地の雪を踏み固めてシートを広げる。積雪30cmくらい。静かで風が当たらないから皆のんびり幸せそうだ。汗をかいたので冷えたビールが実にうまい。午後になっても快晴で風もなく小春日和の感じ。日溜りの忘年会は2時間近く続いた。下りは汗をかくこともないので帽子と手袋をウールのに替える。金山峠に向かって雪の尾根を緩やかに下る。途中左手が大きく開けて大展望が広がった。

真っ白な富士山が大きく裾を引き、杓子山を従えている。その左には御正体山が立派だ。送電鉄塔を越えると金山峠だった。ここからはえらく急な下りが延々と続き参ってしまった。雪が融けかけて泥んこになり非常に滑りやすい。薄暗くなった金山沢に沿って下る。雪は深いがトレースははっきりしており、ルートに迷う心配はない。何度も沢を渉るがちゃんと木の橋が掛けてあり水に濡れることもない。雪を蹴散らして飛ばす。

金山峠からの下り 金山峠付近 金山沢のツララ 雪に埋まった金山沢
 
雪に埋め尽くされた沢を歩くなんて何時以来だろう。西丹沢のザンザ洞を思い出す。別の沢が合流して水量が増す。あちこちの流木や丸木橋に大きなツララが出来ていて厳冬期の風情である。最後に右岸を登り切ると林道に出た。凍てついた道は10cm程の雪で真っ白。15分程林道を下ると金山鉱泉に着いた。

   下り来て 氷柱重なる 雪の沢

   予想外 大雪楽し 大岱山